【ヌルスルタン(カザフスタン)=阿部健吾】レスリングの世界選手権(カザフスタン)は17日に第4日を迎え、女子の競技が始まる。

五輪階級の女子50キロ級に入江ゆき(27=自衛隊)、53キロ級に向田真優(22=至学館大)が登場する。準決勝まで行われ、決勝進出(18日)を決めた時点で東京オリンピック(五輪)代表に内定する。

入江は国内での激しい代表争いを勝ち抜き、初の世界代表の座をつかんだ。リオ五輪金メダルの登坂、世界選手権2連覇中だった須崎との三つどもえを抜けだし、一気に東京切符をつかみたい。地道にコツコツが信条。ベテランの域にさしかかるが、日本が結果を残し続ける女子軽量級の伝統を体現できる実力者だ。

17日に登場する女子50キロ級の入江ゆき(自衛隊)はその日が27歳の誕生日。「そのことを気にするとよくない」と試合に集中する姿勢を強調したが、現地入り後に地元スーパーでケーキが売っているのを見かけたそうで、「ひっそりお祝いできたらいいですね」と笑顔を見せていた。

組み合わせの抽選では準々決勝で第3シードで昨年3位の孫亜楠(中国)が見込まれる。優勝した4月のアジア選手権で勝っている相手となる。1カ月ほど前からけんしょう炎の左手首痛は抱えるが、「だいぶ直ってきて、試合には間に合う。楽しみです」としている。向田は1月に現役引退した吉田沙保里さんが君臨した階級に挑む。16、18年大会では55キロ級を制しており、今回の焦点の1つが減量。幅が大きくなったアジア選手権では思うように動けずに、苦戦した。「高校生の時から7キロくらい見直すきっかけになった。難しいですが、増えすぎないように気をつけています。軽すぎるとバテも早い。食べないといけないけど、そこも難しい。増やしすぎても落とすときにきついし。体小さくてもバテるの早いし。55くらいではいたい」と新たな調整を重ねてきた。

吉田からは日本をたつ前に「一発で決めてくるように」と言葉を贈られた。後継者として注目されるが、「自分は自分」と見つめ、東京行きをつかむ。

男子グレコローマンスタイル60キロ級では決勝が行われ、17年世界王者の文田健一郎(23=ミキハウス)が2年ぶり2度目の優勝に挑む。東京五輪代表を内定させており、「積極的に攻めて、もう1回、世界一を。一番高いところからの景色を見たい」と臨む。