【鄭州(中国)11日=三須一紀】12日に開幕する卓球のワールドツアー・グランドファイナルの組み合わせ抽選会が行われ、東京五輪代表争いで注目が集まる女子シングルスの対戦相手が決まった。

世界ランキング10位の石川佳純(26=全農)は世界選手権女王で同3位の劉詩■(中国)と、同11位の平野美宇(19=日本生命)は同18位の王芸迪(中国)と初戦を戦う。オリンピック(五輪)シングルス代表の残り1枠を懸けた日本人2位の石川と3位平野の争いが今大会で決着する。

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石川と平野はこの日夜、練習会場の隣同士の卓球台で最終調整を行った。ともに東京五輪シングルス代表を争う2人。会話を交わすことはない。最後まで練習場にいたのも、この2人だけ。静かな闘志がぶつかり合った。

石川が厳しいブロックに入った。本人は調整もあり、組み合わせ抽選では母久美さんがくじを引いた。相手は世界女王の劉。対戦成績は09年の初対戦から0勝11敗と、厳しいデータが残っている。石川は「母から連絡を受けて『えーっ!』と八つ当たりしたい気持ちになった。でも後悔したくない。本当に強い相手なので全てを出し切るしかない」と前を向いた。

一方の平野は王と対戦。今年のドイツオープンで初対戦し、1-4で敗れている。世界ランキングや実績だけを見ると石川の対戦相手の方が強敵に見えるが、グランドファイナルに出るために必要なランキングでは王は8位に着けており、こちらも手ごわい相手だ。

東京五輪のシングルス代表は、来年1月の世界ランキングで日本人上位2人が内定する。今大会が五輪選考レースの最後の大会。先週行われた北米オープンで石川が優勝し、順位が逆転するなどデッドヒートを続けてきた。

現在、世界ランキングポイントで石川が日本人2位、わずか135点差で3位平野が追う。今大会で同じ順位なら石川が代表権をつかむ。石川を1つでも上回れば平野が代表となる。

4年分の重圧が一気にかかる大一番を前に、追う平野は「先週の北米オープンで負けて吹っ切れた。今の方が向かっていくだけという気持ちになれている」と、気合十分に語った。

※■は雨カンムリに文の旧字体