アメリカンフットボール全日本大学選手権決勝甲子園ボウルが、15日に甲子園球場で行われる。早大が2年連続6度目の出場で、関学大と2年連続3度目の対戦となった。敵将鳥内秀晃監督(61)が28年目のラストイヤーが注目される。早大高岡勝監督(51)は就任3年目で、創部86年目で初の日本一をかけて挑む。

高岡監督は社会人でOLとして鹿島などでプレーした。マイカル時代にグはラウンドのこけら落としで、鳥内監督と初めて対戦した。「KGはブランド。負けられない重圧の中で監督を続け、尊敬しかない」と話す。12度目の優勝を狙う名将に、1部校では数少ないサラリーマン監督として2度目の挑戦となる。

甲子園に出られる関東TOP8と関西リーグの16校で、専任コーチがいないのは早大と明大の2校だけ。早大は21人のコーチ陣も、多くは会社勤め。グラウンドに来られるのは週末中心のサンデーコーチが大半。日々の指導やコミュニケーションの難しさがある。

高岡監督は平日も業後に練習に顔を出す。会社は築地、グラウンドは西東京市で、自宅は横浜にある。この通勤苦を見るに見かね、OB会が今年からグラウンド近くに2LDKのマンションを借りて支援している。コーチミーティングの場になり、選手たちも出入りして、よりコミュニケーションも図れるようになった。

03年からコーチを務めていたが、前監督が辞任したため、17年に20代目監督に手を上げた。1年目に関東3連覇を逃すと、チーム内に厳しさを求めた。攻守が違えば同じ背番号が2人はOKだが、これを廃止してベンチ入りは99人までに絞った。4年には優先権があったが、今年はこれも廃止した。

さらにバーシティ(1軍)とジュニア・バーシティ(JV=2軍)と分けて、サバイバル争いさせてきた。その結果、今季7試合にすべて先発した選手は、攻守にキックを含めても7人だけだった。4人のDLは6人でローテーションなど、余裕を持った起用もできるようになった。けが人の穴埋めを含めて、層の厚さを増す狙いが実ってきて、結果にも表れた。

高岡監督は現役を辞めた後にはトライアウトに合格して、ヨットのアメリカズカップに出場した経験も持つ。その後は富士通のフラッグチームでDBの長男拓稔らを教えていた。QB柴崎も教え子でそれ以来のつながりだ。

決戦へ向けて「いまも勝つ方法は分からない。やるべきことをやること。結果はその後についてくる」。今年はトップ・オブ・トップを旗印に「関西にスピードで勝つ」とチームをかじ取りしてきた。その集大成で悲願を目指す。