6大会ぶり13度目出場の鹿児島工は初戦で散った。だが同校OBで7人制男子日本代表候補のフランカー桑水流裕策(34=コカ・コーラ)を目標とする「桑水流2世」のNO8神田康生(3年)らが後半に意地の3トライ。優勝1回の格上相手に、大会前の桑水流からの激励メッセージも糧に必死に最後まで勝負を諦めなかった。

神田が「桑水流魂」で燃えた。0-38で迎えた後半10分に反撃した。FW戦でたたみかけ、ゴール直前の左中間ラックから右に持ち出した神田が「点差が離れていて、自分が返し勢いづけたかった」と左中間にチーム初トライを決めた。執念だった。

桑水流は、神田にとって高2で同じフランカーを務めたあこがれの同校OBで「同じポジションでボールへの執着など学ぶところがあった」と目標にしてきた。高校卒業後、流通経大に進学予定で「大学で頑張って将来は日本代表やプロを目指し、ワールドカップにも出てみたいです」と大きな夢を抱いている。

そんな神田の勢いで流れを引き寄せた後半は、格上相手に互角以上の戦いを挑んだ。神田を起点に早いテンポでボールを動かす持ち味の機動力が復活。後半21分、相手のパスミスからつないで主将のCTB杉崎晴人(3年)が40メートル独走トライ。終了直前には、FWで押し込みゴール前のラックからフッカー倉園遼馬(3年)が「最後はFWにこだわってねじ込むつもりだった」と、気迫で3本目を奪った。

実は大会前、桑水流から窪園監督を通じて「『花園から世界へ!』~One Team One Dream~ 6年ぶりの花園出場で緊張するかもしれませんが、今までの練習の成果を全て出し切り花園の舞台を楽しんで下さい!」とのメッセージが届けられ、励みになったという。

敗れはした。だが指揮官は「立ち上がりこそ失敗したが、残り45分は自分たちの形に持っていけた。ボールを動かすことに挑戦し自信になった」と言い、今後への光明を見いだした。来年開催の鹿児島国体へも弾みになった。【菊川光一】