花園史上最高得点となる162得点をマークした2日後、報徳学園ラグビー部は、惜しくも散った。Bシードの国学院栃木に前半を12-14と食らいついた。後半での逆転を狙ったがスコアレス。スコアボードに「12-14」が残りノーサイドの笛。主将のFB山田響(3年)は、膝から崩れ落ちた。

「Bシードを倒すことを考えてきた。自分たちの力不足で、相手が上だった。最後、(トライまで)残り5メートルのミスが…」

雨中でも汗が流れ落ちた。7-7と同点の前半27分、見せ場は作った。自軍10メートルで相手モールのボールを奪うと、楕円(だえん)球は山田の手元に渡った。「意表をつくと言うか…。どこからくるのか相手に察知されないFBになりたい」と“忍者作戦”で相手ディフェンスを振り切った。約60メートルを走りきるトライ。仲間と喜びを分かち合ったが「自分が得点しても、チームが負ければ意味がない」と唇をかんだ。

その目に、涙はない。「花園は自分が1番輝ける場所。全国優勝を目標にしてきた。また新しい目標を見つけて、この経験をもっと生かしていきたい」。報徳学園ラグビー部では初となる慶応大に進学を予定。敗戦直後も冷静な18歳。また輝ける。【真柴健】