高校日本代表候補8人を擁す東福岡が100-14で松山聖陵(愛媛)に大勝した。WTBの松岡大河や高校日本代表候補の高本とむ(ともに3年)らBK3人がハットトリックをするなど自慢の機動力がさく裂。16トライ、10ゴールで3大会ぶり7度目の優勝へ“100点”発進した。

東福岡が誇るスピードスターが、松山聖陵を切り裂いた。大阪から優勝のために進学し、誰よりも東福岡を愛す高本と松岡をはじめ、けがから約7カ月ぶりに復帰した主将のCTB広瀬の3人がハットトリックで貢献だ。

松岡は2日前の練習で、スパイクが顔面に当たり口の中を10針、外を5針縫う大けが負った。試合に恐怖もあったが「1回(ボールを)キャリーしたら怖くなくなった」と、50メートル6秒0、小学生時代空手で鍛えた強靱(きょうじん)なフィジカルで奮戦。広瀬主将は「両ウイングがトライし、しっかり勝負してくれた」と、東福岡が誇る“ダブル・フェラーリ”に感謝した。

今年は、どん底から愛称の「フェニックス(不死鳥)」のごとく、はい上がってきた。今春の全国選抜大会準々決勝で優勝した桐蔭学園(神奈川)に21-67で大敗後、あまりのショックの大きさに立ち直れず、常勝軍団が一時は空中分解の危機に陥った。浮上を試みたが、夏合宿の桐蔭学園や大阪桐蔭戦でも歯が立たないままだった。

だが9月の天理との定期戦に大敗し転機となった。翌日のミーティングで、危機感を募らせた松岡が号泣しながら「何のために東福岡に入ったんだ」とチームにカツを入れ、入った理由などを話すことで全員の気持ちが切り替わったという。窮状を見かね母校を訪れた日本代表フランカー布巻峻介(27)からも「東福岡はそれでいいのか」と鼓舞され、目が覚めた。

さらには、右肩脱臼骨折で春から長期離脱していた高校日本代表候補の広瀬が、11月の福岡県大会から復帰。日本代表のジェイミー・ジョセフHC(50)とサニックスでチームメートだった父友幸さん(43)のDNAを受け継いだ大黒柱の存在も大きかった。

12月中旬の関西遠征では、大阪桐蔭や常翔学園を撃破するまで盛り返した。チーム状態は、花園を前に上向きだった。

ただ快勝はしたが、この日、キックで裏を取られ2トライを奪われるなどミスも目立った。その反省を踏まえ、藤田雄一郎監督(47)は「ミスをしないことが一番の戦術。次は決戦になる」と、来年1月1日のBシード国学院栃木戦を見据える。真価が問われる最初の関門に挑む。【菊川光一】