27日の初戦で花園初勝利を挙げた県浦和(埼玉)が青森山田を破り、3回戦進出を決めた。当初は第3グラウンドでの試合だったが、コンディション不良により、急きょ第1グラウンドでの戦いに。雨も止み、1回戦と同じメイン会場での試合に選手たちはのびのびとプレーした。

   ◇   ◇   ◇

パワフルなトンガ人留学生にも恐れなかった。1人がタックルにいくと、次々に県浦和の選手が覆いかぶさるように飛び込んだ。後半25分にリードを12点に広げたが、その後は猛攻を受け、2分後には5点差に迫られた。それでもNO8松永主将は「強みは走るラグビー。後半は自分たちの方が動き続けると思っていた」と最後まで走り続け、逆転を許さなかった。初戦1トライのみだった攻撃も、FWの突破にサポートを増やして5トライを奪った。

対策は十分だった。SO目黒が28日に深夜までかけて分析したデータと、ビデオで研究。FWリーダーの梯(かけはし)は「外国人は複数で止めようと。1人目が下に入って、その後上からも抑えにいった」とダブルタックルで攻撃の芽を摘み、スキがあれば、ターンオーバーを狙った。松永は「分析を重ねたプランで、少し崩されても戻すことができた。これが浦高の強さ」。仲間が作ったデータを信頼し、15人が役割を実行した末の勝利だった。

この日も全国から駆けつけた約6000人の大応援団に後押しされ、目標の「花園で年越し」を決めた。3回戦は桐蔭学園と公式戦初対戦。三宅監督は「普通の高校生がチャンピオンに挑戦できる。幸せなこと」と語った。松永は「練習試合も組ませてもらえない。僕たちはラグビーの上ではおちこぼれなので」と話す。怖いもの知らずの初心者集団が、優勝候補にひと泡吹かせる。【松熊洋介】