チーム存続のためには、なりふり構っていられない。プロバスケットボールのBリーグでB2(2部)の香川ファイブアローズが、インターネットによるクラウドファンディングで運営資金を募っている。

「経営難で存続危機! 再建達成へ」と告知し、目標額は5月下旬までに1000万円。支援は3000円から50万円までのコースから選べ、選手のサイン入りグッズや、地元名物のうどんなどがもらえる。受け付け開始から約10日が経過した時点で、目標額の約47%に到達。藤田秀彰代表(52)は「順調な出だしが切れた。ただ目標達成には、少し厳しい面があるとも考えている」。新たな返礼グッズの追加も検討中だ。

チームはBリーグ創設からの3年間、B2でも苦戦が続き、前年度は西地区最下位。さらに今季開幕前には、指揮を執っていたヘッドコーチのパワハラが発覚。リーグからの制裁がチームにも下された。

非常事態の中で新代表に就任した藤田氏を中心に、クラブはコート内外で改革を断行。シーズン途中には、ニュージーランド代表を率いた名将ヘナレ氏を新指揮官として招いた。弱小だったチームは変貌し、西地区2位に躍進。初のプレーオフ進出も見えていた中で、コロナ禍によるシーズン中止が決定した。

新たな危機を乗り越えるため、チームは懸命に活動を続ける。藤田代表は「スポーツには、沈んだ気持ちを前向きに変えるパワーがある。来季が始まったとき、ファイブアローズもそんな役割を担いたい」。その日が来るまで、何としてでも生き残る。【奥岡幹浩】

◆香川ファイブアローズ 2005年11月に設立。06-07シーズンよりbjリーグに「高松ファイブアローズ」として加入。Bリーグに参入した16-17シーズンから現クラブ名となった。愛称は、平安時代末期の源平合戦で、現在の高松市内を舞台とした屋島の戦いにおいて、那須与一が矢で扇の的を射抜いた故事に由来。チームカラーはアローズイエロー(黄)と瀬戸内ネイビー(濃紺)。前者は、県の象徴である金毘羅山、うどんのだし、小麦畑、瀬戸内の朝日などの「黄金色」をイメージ。後者は瀬戸内の穏やかで寛大な海の色にちなむ。