ラグビー日本代表として最多98キャップを誇る東芝ロックの大野均(42)が、現役を引退することになった。18日にチームが発表。代表で共に戦った後輩が、その功績をかみしめた。

練習から一切手を抜かないのが、大野だった。15年W杯イングランド大会に同じロックで出場した、京産大の伊藤鐘史監督(39=元神戸製鋼)は「目の前の練習にも、お酒にも、本当に一生懸命だった。影響はたくさん受けた」と懐かしんだ。1人で黙々と自らの体にテーピングを施し、ボール争奪戦で激しく体を当て続けた。大野からは事前に電話で引退の報告を受けたといい「灰になっても燃えて、燃え尽きたのだと思う。今はコロナで会えないけれど『また、お疲れ会しましょう』と声をかけました」と明かした。

15年W杯を戦った日本代表ロックは2人に加え、当時近鉄のトンプソン・ルーク氏(39)、サントリーに所属していた真壁伸弥氏(33)の計4人。大野の引退により、全員が現役生活に終止符を打った。

19年日本大会では日の丸を背負ったロック4人全員が、外国出身選手となった。元代表のプロップ山下裕史(34=神戸製鋼)は「これから何をされるのかは分からないけれど、不器用でも、本当に体が強い選手を発掘して『第2の大野均』を生んでくれるといいですよね」と願った。日大工学部入学後にラグビーを始めた先輩に敬意を示し「(新型コロナウイルスの影響でトップリーグが打ち切りとなり)締めくくりがこのタイミングで少し寂しい。花道を作るのに値する選手なので。息の長い選手として、僕もそこを目指したい」と目標に掲げた。【松本航】