国際スケート連盟(ISU)が創設したフィギュアスケート部門の「ISUスケーティング・アワード」表彰式が、日本時間11日午後11時からオンラインで行われた。

世界の選手、コーチ、振付師らが対象の全7部門。「最優秀選手賞」「最優秀衣装賞」の2部門にノミネートされていた、冬季オリンピック(五輪)男子2連覇の羽生結弦(25=ANA)が初代「最優秀選手賞」に輝いた。

ネーサン・チェン(男子=米国)ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組(アイスダンス=フランス)と最終3候補に入っていた中、名前を呼ばれると、謙虚にほほ笑み、頭を下げて世界初の栄誉を受け止めた。「最優秀衣装賞」はマディソン・チョック&エバン・ベーツ組(米国)に譲ったものの、2人に対して大きな拍手を送って祝福した。

黒のスーツにノータイ、ヘッドマイク姿でリモート出席。受賞前の、最優秀選手(スケーター)賞の候補に対するインタビューでは次のように語った。

「先ほど同じことを言いましたが、繰り返させてください。この賞にノミネートされてうれしく思います。質問に答えます」

「個人的には、ファンの皆さんの目と声は、すべてにおいてプレッシャーとなります。私はいつも期待とプレッシャーを感じています。たとえ、それが単なる練習だったとしても、私はそれを感じています。正直なところ、時にはそれはきついし、何か自分を閉じてしまいたくなると感じることもあります」

「でも、そのプレッシャーが私をより強くします。もし誰からも何も期待されなかったらと思うと、ゾッとします。なぜなら、その期待度こそ、達成して満足したいと思っているレベルだからです」

「もちろん、常に100%納得できる結果を見せられるわけではありませんが、常に120%の力で彼らの期待に応えようと努力しています。責任は非常に大きいですが、期待に応え、成功を収めた時の達成感は、言葉では言い表せないほど素晴らしいものです」

そして、記念すべき世界で最初のMVS(MostValuableSkater)に選ばれると、以下のようにコメントした。

「フィギュアスケートはスポーツです。ショーではありますが、私たちはアスリートで、競技です。1人だけでは競技にはなりません。多くのアマチュアスケーターがいて競技は成り立っています。これがスポーツとしてのフィギュアスケートです」

「日常生活において、ほぼ常にフィギュアスケートについて考えています。常に、より強く、よりうまくなろうと考えています。1人のアマチュアスケーターとして、一生懸命、頑張って、自分が望む結果を出したいと思っています。家族やファン、コーチが私に期待するものをかなえたい」

「(次世代を担う若手へアドバイスを求められ)すべてのスケーターは、それぞれが自分が表現したいスタイルを持っています。それぞれ表現したいこと、できることは違います。だから私はアドバイスする立場にはありません。世界のトップスケーターたちから、最高のフィギュアスケートを見ることを楽しみたいと思っています」

締めくくりに、深夜にもかかわらず表彰式を視聴してくれた日本のファンに向けて、日本語で柔和に語りかけた。

「ここまで見てくださり、ありがとうございました。皆さんのおかげで、こうやってスケートができていること、そして自分が追い求めるスケートができていることが本当に幸せです。いつも応援ありがとうございます。そしてこれからも一生懸命、自分の理想のスケートを追い求めて頑張っていきます。どうか応援よろしくお願いします」【木下淳】