宮城県内で高校総体の代替大会が開催中だが、15日からはフェンシングも行われる。昨年3月の全国選抜男子エペ団体で初優勝した仙台城南は同大会2連覇と、全国総体の優勝の夢が幻となったが、12年ロンドンオリンピック(五輪)男子団体フルーレ銀メダリストでOBの淡路卓監督(31)のもと、たくましく前を向く。

淡路監督は15年に1度は引退を決意も、東京五輪でのメダル獲得を目標に復帰した。指導者と兼任してきたが、再び人生の岐路に立たされた。「東京は夢のようなタイミングと思いましたが、コロナも運命かなと思う。来年の開催もわからない中、自分の夢とてんびんにかけた時、この子たちを優先したいと思った」と覚悟を決めた。

練習自粛中の5月には、自ら毎晩10~20キロ走り続け、ツイッターを更新した。「しっかり継続して、本気度を伝えたかった」。1カ月で400キロを走破した。県の個人王者の内ケ崎良磨主将(3年)は「練習も全て一緒にやってくれるから説得力もあるし頑張れる。こんなすごい人が教えてくれるなんてラッキー。全部吸収してやろうと思ってやってきた」と鼓舞されてきた。淡路監督はコロナ禍で苦しんだ選手たちに「現実を伝えて先の可能性を伝えたい。どういう道を歩むにしても全力で協力する」と寄り添い続ける。【野上伸悟】