日本で最初のアメリカンフットボール公式戦の貴重な映像がこのほど、日本協会によって公開された。34年(昭9)11月29日に神宮外苑競技場(現国立競技場)で、東京学生選抜と横浜カントリー・アスレチック・クラブ(YCAC)が対戦したもの。日本協会ホームページやユーチューブチャンネルで試聴できる。

立大初代部長だった小川徳治教授の遺族から提供された遺品の1つ。海外関係者が作製したと思われる16ミリフィルム。モノクロ無声の5分44秒の映像で、日本審判協会喜入氏らがデジタル化などして作製した。

経緯や当日の状況などを文字解説にナレーションを加えた約9分に編集し、10月の山梨・清里での殿堂顕彰掲額式でお披露目された。フットボール界の共有財産であり、広く活用してもらうため、再利用自由として公開となった。

当時はハワイ出身の日系人留学生が多く、彼らを元気づけようとしたのが始まり。早大、立大、明大の3校で10月に東京学生連盟を発足させ、この試合が日本で最初となった。

秩父宮殿下を来賓に迎え、グルー米大使が開会宣言してキックオフ。東京学生選抜のRB川原(早大)が、ランで日本で初のTDを挙げて先制した。川原が2TDラン、1TDパスなど大活躍し、東京学生選抜が26-0で勝利している。

平日も米国の感謝祭の日に開催され、観客には外国人も多く、ほぼ満員の約2万人が詰め掛けた。赤坂のクラブ専属バンドがジャズなどを演奏、セーター姿の日系人留学生がチアリーダーで応援した。ふだんはみられぬ風景にも、にぎやかなお祭りムードに沸いていたという。