現役ラストシーズンの五郎丸が、堂々のスタートを切った。早大時代から慣れ親しんできた聖地秩父宮で今季初戦に臨み、1トライ5ゴールを挙げた。3760人の観衆の期待に応える活躍を見せた35歳は「(1点差負けの)前節の敗戦からチームをどう立て直すかにフォーカスしていた。次戦につながる良い結果を残せた」と振り返った。

前半5分に訪れたゴールの機会にも動じず、2本のポールの間に冷静にボールを沈めた。圧巻は前半33分。左サイドで相手のパスをカットすると、そのまま約35メートルを独走してインゴールに飛び込んだ。リーグ戦でのトライは約3年5カ月ぶり。その後のコンバージョンも決めて、NECを突き放した。

この日が誕生日だった母日登美さんとの約束を果たした。試合前にトライを奪ってほしいと要望されていた。試合後にそのことを明かし「トライできたのはラッキーでしたし、良かった」。言葉は控えめだったが、親孝行を果たせた喜びが表情ににじんでいた。

開幕から2試合続けてメンバー外もコンディションは万全だった。第1、第2節は、クラブハウスでビデオ観戦し「このジャージーを着てプレーしたい気持ちが強くなった」。随所で正確なキックを駆使し、FWのセットプレーに強みを持つチームの持ち味を引き出した。堀川隆延監督も「しっかりエリアを取るというテーマができたのは、彼のリーダシップやパフォーマンスが良かったから。100点満点中80、90点の出来」と評価した。

集大成となるシーズンで、チームの悲願となるトップリーグ初制覇を狙う。五郎丸は「どうやってチャンピオンになれるか。それだけにフォーカスしています」。頂を見据えて死力を尽くして戦う覚悟を示した。【平山連】