女子7階級が実施された大会後、全日本柔道連盟(全柔連)の強化委員会が開かれ、6月の世界選手権(ブダペスト)代表が決まった。48キロ級の角田夏実(28=了徳寺大職)ら9人が選出された。

オンラインで公開された強化委では、78キロ超級の代表選考についてさまざまな意見が飛び交った。特に、東京五輪代表補欠で18年世界女王の朝比奈沙羅(24=ビッグツリー)に厳しい声が上がった。昨春から独協医大の医学部生となり、栃木県で勉強との両立を図っているが、一部から「練習環境」の不安を口にする意見が出た。昨年12月の全日本女子選手権では初戦の2回戦で反則負けを喫し、今大会は右肋骨(ろっこつ)骨折により欠場した。

その一方で、3番手の冨田若春(23=コマツ)が昨年の講道館杯、全日本女子選手権、今大会と3連勝。猛アピールを続け、朝比奈とともに世界代表に選出された。

女子代表の増地克之監督は、強化委後の記者会見で「朝比奈と冨田は順位をつけない」と、現時点では同等であることを強調。「本来であれば、この大会で2人が戦う姿を見たかった。(コロナ禍以降)朝比奈の試合は皇后杯でしか見てなく不安であるが、ポテンシャル(潜在能力)と世界女王の経験は代えがたい。今はしっかりけがを治して、強化を図ってもらいたい」と話した。

一部から五輪代表補欠の継続も疑問視される声もあった。指揮官は世界選手権の成績により「五輪の補欠が代わることはまずない。五輪補欠は(朝比奈に)決まっている。(世界選手権で)2人が決勝で戦えるところまでもっていきたい」と切望。「闘う医学生」をスローガンに掲げ、文武両道を貫く24歳の柔道家は、この懸念を払拭(ふっしょく)させるためにも、結果だけが求められている。

 

以下、世界選手権女子代表。

▽48キロ級 角田夏実(了徳寺大職)、古賀若菜(山梨学院大)

▽52キロ級 志々目愛(了徳寺大職)

▽57キロ級 玉置桃(三井住友海上)

▽63キロ級 鍋倉那美

▽70キロ級 大野陽子(コマツ)

▽78キロ級 梅木真美(ALSOK)

▽78キロ超級 朝比奈沙羅(ビッグツリー)、冨田若春(コマツ)

▽団体57キロ級 舟久保遥香(三井住友海上)

▽団体70キロ級 新添左季(自衛隊)