日本の女子競泳界を10年間リードしてきた「女王」千葉の3大会連続五輪出場が、白紙に戻される可能性が出てきた。200メートルで9度目の優勝を果たしたが、この日の100メートルは3位に終わった。原因として体調不良を挙げたが、日本水泳連盟の見解は予想以上に厳しく、当確とみられた200メートル代表でも再検討が避けられない情勢だ。

青木剛競泳委員長は「A標準を突破しても、代表とはいえない。千葉の200メートルの記録も、高いとはいえないし、選手は千葉だけじゃない。体調不良? それは理由にならない。照準を合わせてきた選手に失礼だ」と語気を強めた。

確かに、千葉の低迷ぶりは無視できないものだった。日本記録が連発する今大会で、優勝した200メートルでもA標準(2分1秒02)突破がやっとだった。国内最後のレースとなったこの日の100メートルでは、さらに精彩を欠いた。千葉は「精いっぱいやった。これが実力」と言った。結果的には、心証をさらに悪くした。

むろん、千葉にはだれにも負けない実績がある。バッド・マカリスター・コーチは「今後は、200メートルに専念できる」と確信し、林務専務理事のように「200メートルは選ばれるだろう」という見方もある。いずれにしろ、千葉の代表選考をめぐり、波乱は避けられない。

 

◆競泳のシドニー五輪日本代表決定基準

国際水泳連盟(FINA)は、1カ国で1種目につき2人派遣できる五輪A標準記録(五輪では準決勝進出程度のタイム)を定めており、この記録を日本選手権で突破した選手が対象。さらに1種目につき上位2選手、つまり優勝と準優勝の選手だけに五輪代表の資格がある。しかし、ギリギリでA標準を突破しても、五輪のメダル獲得の可能性がなければ、代表に選ばれないとみられている。

今回の千葉は、100メートル自由形で五輪A標準を切れなかったが、前回の日本選手権で54秒99を出しているため、シドニー五輪の同種目にエントリーすることは可能。

今大会最終日(23日)の夜に五輪代表選手が決まり、24日に正式発表。