世界49位の錦織圭(31=日清食品)が、19年以来2年ぶりの4回戦進出だ。予選勝者で同150位のアンリ・ラークソネン(スイス)が左太ももを痛め、第2セットの1ゲーム目で棄権した。錦織は「自分の方としては」と心苦しさを前置きしながら、「運が良かったとしか言いようがない」と話した。次戦は同6位のズベレフ(ドイツ)と対戦する。

突然のことだった。第1セットの錦織から1-2。錦織がサーブで30ー0から放ったサーブを、ラークソネンがフォアサイドに追いかけたとき、足を引きずった。そして、急に動けなくなった。

2オールでトレーナーを呼び、左太ももにテーピングを施した。しかし、再開後も、左右にほとんど動けない。それでも試合を続行し、開き直った強打とドロップショットで錦織を脅かした。

第11ゲームで、錦織が相手のサービスゲームを破り6-5とリードしたところで、雨で約45分中断。休憩を挟めたが、相手の動きは戻らず、錦織が第1セットを先取。第2セットの第1ゲームで4ポイントを消化したところで相手が棄権を申し出た。

錦織は、1、2回戦ともに4時間を戦い、「とにかく休みが必要だった。相手がけがしてなかったら、こちらがけがしていたかもしれない」。だから「今日、4セット、5セットは無理だろうなと思っていた」ので、先手必勝でたたみかけるつもりだった。

次戦は、前哨戦のマドリード、ローマと2大会連続で敗れているズベレフが相手だ。「プレッシャーがない分、自分の方が思い切ってプレーはできる」。19年以来の8強入りを目指し、金星に挑む。【吉松忠弘】