須山晴貴(23=栃木県スポーツ協会)が443・55点で初優勝した。予選を1位で通過して、決勝も好演技をまとめた。

昨年11月に、練習中の負傷で左膝の半月板を手術した。東京五輪切符がかかる今年5月のW杯東京大会まで残り半年のタイミングだった。絶望的な状況でも痛みをこらえて、懸命のリハビリで大会出場までこぎつけた。五輪切符は予選18位以内が条件だった。須山は最後の6本目を、18位に0・30点差の19位で迎えた。しかし試合でアドレナリンが出て、膝の痛みがまひした。練習よりも体の動きが良すぎて、回転をオーバー。入水が乱れた。東京五輪切符までわずか4・35点差の予選19位となって東京五輪は消えた。ラストダイブの後、黄色いタオルで顔を覆って号泣。「19番は19番。未熟だと思う」と言葉をしぼり出した。

あれから4カ月。失意を乗り越えての初優勝となった。これまで高難度の技を成功させる半面、板から落ちて0点を出すなど、好不調の波が激しいタイプだったが「今日はメンタルが崩れずにスーッとできたのがよかった。絶対決めなきゃと思う演技を決められたし、そこがよかったと思う」。涙はなく、笑顔だった。