仕事の一環と日本テニス協会への協力もあり、テニスの成績を事細かに記録している。東京オリンピック、パラリンピック(オリパラ)があったため、先日、久々に更新した。その中で、世界ツアーやツアー下部大会で、日本選手が決勝に進出した大会を、年ごとに網羅している表がある。

21年の日本選手の成績が芳しくない。特に日本男子だ。ツアーとツアー下部のチャレンジャー大会で、21年はわずか2回の決勝進出しかない。コロナ禍で3月から8月まで、すべての国際大会が中断した20年でさえ、ツアーで4回、チャレンジャーで5回の決勝進出があった。

コロナ禍前の5年は、19年が17回、18年が23回、17年が25回、16年が23回、15年が19回と、常に20回前後を記録している。このまま行くと、錦織圭がツアー大会のデルレービーチ国際で優勝した08年以前に戻りかねない。05、06年の両年は、わずか3回ずつ。21年はそこに迫る少なさだ。

日本女子はどうか。21年のツアー決勝進出回数は、現時点で10回。19年と同数で、18年の11回と大きく変わらない。ただ、そのうちシングルスとなると、大坂なおみの活躍が突出している。大坂以外で日本女子のシングルス決勝進出は、19年のジャパン女子オープン。日比野菜緒と土居美咲が決勝で戦った1大会だけだ。

日本男子に関すれば、コロナ禍での海外遠征の規制が、大きく影響を与えているのは間違いない。女子より3倍近く層が厚いと言われる男子は、少しでも海外との切磋琢磨(せっさたくま)が断たれると、あっという間にその差は広がってしまう。だからといって一般国民のことを考えれば、水際対策は緩めることはできない。

自民党の総裁選がヤマ場だ。しかし、オリパラまでは盛んだったスポーツ行政の話題は、一向に壇上に上らない。未来の日本スポーツのあり方は? 終わってしまえば、話題になるのはメダルの数だけ。ただの祭りでしかなく、過去のオリパラの後と何も変わらない。

菅首相が、多くの反対を押し切ってまで開催した東京オリンピック・パラリンピックだ。それほどスポーツに関心があるなら、日本のスポーツの未来や将来が描かれていると思うのが、普通だ。しかし菅政権は終わり、まるでスポーツなど何もなかったように総裁選は進行している。

海外に主戦場を求めるスポーツの扱いをどうするのか。海外選手をどのように入国させ、どのようにして出国させるのか。スポーツはオリンピック、パラリンピックだけではない。通常の身近なところに世界のスポーツがなければ、東京でオリパラを開催した意味など全くない。【吉松忠弘】