世界ランキング10位の日本が、ワールドカップ(W杯)2度の優勝を誇る同3位のオーストラリアを土俵際まで追い詰めた。19年W杯日本大会以来、約2年ぶりに国内で行われたテストマッチで23-32と健闘した。

逆転勝利を目指し、後半34分には途中出場したSO田村優(32=横浜)のPGで4点差。6度目の対戦で初の金星まで、あと1歩だった。23年W杯フランス大会へ。前回大会の8強超えへ手応えをつかみ、11月の欧州遠征へ向かう。

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日本とトップチームとの差は間違いなく縮まっているが、課題もあった。9点差だが全体のポゼッション(ボール支配率)やテリトリー(地域獲得率)でも負けていた。特に、後半10分ぐらいまでは相手のキッキングプランに完全にコントロールされていた。ラインアウトも14本中11本成功と成功率は悪くないが、クリーンボールを出せず攻撃の勢いを出せなかった。いい攻撃をするためには、もっと精度を高く、細部までこだわる必要がある。反則も14個で規律ももう少し。テストマッチでは命取りになるので、1桁に抑えたい。

ただ、一時は14点差まで開いたが、大崩れせずに立て直した「修正力」は成長の証しだ。選手1人1人のフィジカルや意識、メンタルなどのスタンダードが確実に上がっている。この日は全体的に防御が良かった。相手のアタックもほとんど機能してなかったし、終盤は足が止まる選手もいた。ラブスカフニ新主将と中村副将らリーダー陣が要所要所でゲームの流れを変え、タタフや斎藤ら若手もしっかりコミットしていた。11月の欧州遠征のウオーミングアップとしては内容のあるナイスゲームだった。

春遠征を含めて強豪相手にあと1歩で勝ちきれない試合が続いている。ただ、23年W杯の2年前の準備と考えると、もちろん勝ちにこだわるが、勝敗よりも「成果」の方が大事。残り1年を切ったら、自信をつけて臨むために勝ちきる執念が重要になる。欧州遠征で3連勝できる力は十分あるので、さらに成長を続けてほしい。(横浜キヤノンイーグルス監督)