東京五輪代表の芦川うらら(18=静岡新聞SBS)が、平均台の日本女子では67年ぶりとなる金メダルを獲得した。14・100点の高得点で、1954年ローマ大会の田中敬子以来となる世界一に輝いた。村上茉愛(25=日体ク)も13・733点で銅メダルとし、平均台では史上初めてのダブル表彰台となった。

芦川は冒頭の後転飛び上がりで台の上に立つと、1つ1つの技をぴたりと10センチの幅に収めていく。減点の対象となるふらつきは、わずか。1日10回は通し練習をするという類いまれな練習量に裏付けられた演技を、母国大会で披露した。最後も後方伸身宙返り3回ひねり下りで着地をぴたりと止めると、143センチの小柄な体を弾ませて喜んだ。

4姉妹の末っ子。次女の七瀬さん、三女の実鈴さんが体操をやっており、自然に競技に取り組んだ。小学6年の時、五輪を目指していた七瀬さんが側弯症(そくわんしょう、背骨が左右に湾曲した状態)で体操を引退することになり、その時に「お姉ちゃんの分まで頑張る」と決めた。

夢をかなえた東京五輪では予選を終えて補欠1番手。決勝の開始約2時間前に繰り上がり出場が決定して、6位だった。「どの試合よりも緊張感がすごかった分、どの試合よりも楽しかったです。東京五輪の舞台に立てたことだけでもうれしかったけど、いつも通りの演技ができていたらメダルも狙えていたのかな? という悔しい気持ちも少しあります」と振り返っていた。

自信も得て臨んだ今大会だった。「いつも通りの演技ができればメダルを取れたということも分かって、世界選手権でメダルを取りたいという気持ちが芽生えました。でもメダルを目標にするのではなく、まずは自分の演技をすることが目標。その後にメダルがついてくると思います」と決意を語っていた。

◆芦川うらら 2003年(平15)3月8日、富士市生まれ。1歳の時に姉の影響で競技を始め、小2から水鳥体操館に通う。富士市立丘小を経て、中学から常葉大常葉に入学。東京五輪予選を兼ねた19年からの種目別W杯で3連勝を飾り、日本代表内定。家族は両親と姉3人。143センチ。