1998年長野五輪スピードスケート男子500メートル金メダリストの清水宏保氏(47)が後輩たちに、「金言」を送った。北京五輪開幕まで100日となった27日、自身以来24年ぶりの金メダルの期待が高まる男子と、2大会連続の頂点を狙う女子の500メートルを展望した。【聞き手=三須一紀】

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女子500メートルは小平奈緒(35=相沢病院)の五輪連覇が懸かる。そこに平昌五輪1000メートルで銅、1500メートルで銀、女子団体追い抜きで金を獲得した高木美帆(27=日体大職)が五輪3大会目で、初の500メートルに挑むかどうかに、注目が集まる。

-小平連覇の可能性は

清水氏 ある。一方で35歳という年齢も考えて、いかに五輪にピークを合わせていけるか。昨季割り切って体を休めた効果が、今季に良い結果として表れそうだ。

-高木美は五輪で500メートルに挑戦すべきか

清水氏 金かどうかは分からないが、メダルは取れるだろう。しかし、彼女は個人種目の金がない。この競技では団体より個人のメダルに付加価値がつく。個人で金を狙いたいなら1000、1500メートルに専念した方がいい。

-全日本距離別選手権では1位小平、2位高木美の差はわずか0秒06。それでも500メートルに限っては2人の滑りに差があるのか

清水氏 車に例えると小平がスポーツカーで高木がハイブリッドカー。『小平車』はスタートから急発進ができる上、200、300キロのスピードを出すことができる。コーナーで安定走行もできる。ただ、燃費が良くないから消耗も激しい。一方『高木車』は燃費が良く効率的に走ることができるが、超高速は出しづらく、出せたとしてもコーナーで安定しづらい。小平は、やはり超スプリンターだ。

◆スピードスケートの北京五輪日本代表 11、12月のW杯前半4大会と12月の代表選考会(長野)の結果で決まる。W杯の成績により各国・地域に最大で男女各9人の代表枠が配分される。日本連盟が定めた、W杯で平均的に3位以内に入るなどの基準を満たせば、男女各4人までに事実上の内定が出る。残る代表枠は、選考会の成績で選ぶ。

◆清水宏保(しみず・ひろやす)1974年(昭49)2月27日、北海道帯広市生まれ。白樺学園高-日大。五輪は94年リレハンメルから06年トリノまで4大会連続出場。98年長野大会は500メートルでスピードスケートでは日本勢初の金、1000メートル銅。02年ソルトレークシティー大会500メートル銀。世界距離別選手権500メートルで5度の金。10年に現役引退。現在は札幌でトレーニングジム、高齢者向けのリハビリセンターを経営。今季は日刊スポーツでスピードスケートについて随時、解説する。