全国高校ラグビー大会は8日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で決勝が行われ、初優勝を目指すBシードの国学院栃木と、6度目の優勝を狙うAシードの東海大仰星(大阪第2)が対戦する。

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快進撃が続く国学院栃木は決勝を控えた7日、奈良市内で最終調整した。チームを支えてきた主将の白石和輝(3年)は大会初戦で脳振とうに見舞われ決勝は欠場するが、頂点まであと1勝に迫った仲間たちに思いを託している。

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白石の目には仲間の成長ぶりが頼もしく映っている。準々決勝で長崎北陽台、準決勝で3連覇を狙う桐蔭学園を破り、27度目の花園の舞台で初の決勝に進んだ。「ディフェンスで60分間しっかりと戦い、精神的な面で我慢強くなっている」。悔しいのは、その中に自分がいないことだ。

2回戦の松山聖陵戦に先発出場したが、前半13分に無念の負傷交代。試合後に脳振とうと診断され、規定により今大会はその後の出場ができなくなった。

その日の夜、チーム全員が集まった宿舎でのミーティングで吉岡肇監督が白石の離脱を伝えた。周囲から仲間たちのすすり泣く声が広がった。涙を浮かべる選手たちは「白石の分まで戦おう」と誓った。そんな合言葉を胸に、11年度以来となる8強、初の4強入りと階段を上り、ついに決勝まで駒を進めた。

吉岡監督は「キャプテンは選手間投票で決まるんですが、白石が満場一致でした。2年生の時はベンチに入っていたけど、出場はなかった選手がです。キャプテンシーが強く、日頃の生活態度や練習で見せる姿はチームのお手本です」。3年間の頑張りを知るだけに、決勝の舞台に立てないことは悔しくてならない。

白石自身も同じ思いだが、気持ちは切り替えている。ラインアウトやスクラムなどセットプレーの練習する際には代わりで入る選手にアドバイスを送ったり、チームを束ねる姿は今も変わらない。卒業後は立大に進学し競技を続ける。「試合には出ることはできないけど、伸び伸びとプレーしてほしい」。ベンチから声を張り続ける。【平山連】

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◆白石和輝(しらいし・かずき) 2003(平15)年7月8日生まれ、群馬県出身。群馬・高南中-国学院栃木。中学時代は柔道部に在籍しながら高崎ラグビースクールで競技に打ち込む。目標の選手はリーグワン1部神戸の橋本大輝。178センチ、95キロ