ラグビーの新リーグ「リーグワン」3部の宗像サニックスブルースが、今季限りで事実上の廃部にする方針であることが15日、判明した。同日に選手、スタッフにも伝えられたという。同チームに選手を送り出している有力大学の関係者は「家庭を持つ選手もいる。今後の再就職先を探すことも含めて、何かしらサポートをしないといけない」と情報収集を急いだ。

ラグビー界では昨年4月にもトップチャレンジリーグ(当時)のコカ・コーラが活動休止を発表。事実上の廃部となり、再び九州の有力チームが消滅する可能性が高まった。かつて関西社会人リーグで神戸製鋼としのぎを削り、トップリーグに在籍歴のあるワールドファイティングブル(本拠地・神戸市)も09年に活動休止を決定。現在は関西クラブリーグの強豪である六甲クラブと統合し「六甲ファイティングブル」として活動を続けている。

これまで、日本の社会人ラグビーは企業スポーツとして存在してきた。今年から始まった新リーグは、サッカーのJリーグのように地域密着を意識。各チームが独立した事業主体としてチケット収入などを得ることで、プロ化への第1歩を踏み出したはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が影響して試合中止が相次ぎ、観客収入も伸び悩んでいるのが現状。休部に動く背景には、苦しい台所事情もあるのではないだろうか。

関係者によれば、宗像はほとんどの選手が単年などのプロ契約を結んでいるという。リーグ側が積極的にプロ化へのかじを切る一方で、かつてのような社員選手の方が安定しているとの見方もある。トヨタ自動車やサントリー、神戸製鋼、三洋電機(現パナソニック)など、引退後も企業に残りながら社業で活躍する人は多い。関係者は「昨年、廃部になったコカ・コーラから、ようやく移籍先を見つけてサニックス(宗像)に来た選手は、再び路頭に迷うことになる。日本のラグビーは、これでいいのか」と疑義の念を抱く。

19年W杯日本大会の成功。そして、新リーグの船出。改革を進める日本ラグビー界だが、大きな課題が残されている。【益子浩一】