史上最年少の14歳で日本代表に選出された比嘉もえ(AS広島)が、チームFRにオープン参加した日本のメンバーとして出場。チェスをテーマに、ほか7人のチームメートと息の合った演技を見せた。順位はつかないが、チームは全体トップの93・9000点をマーク。前日2日のデュエット・テクニカルルーティン(TR)などに続き、代表デビュー大会で存在感を示し、世界選手権(6月開幕、ブダペスト)に勢いを付けた。

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水面で比嘉たちはボードゲームの駒となった。前日の「吸血鬼」から打って変わり、チームFRのテーマは「チェス」。ナイト(騎士)やキング(王様)など、表情やしぐさを変え、盤面を動くかのように縦へ横へと移動。オープン参加のため順位はつかないが、全体トップの得点をマークして観客を魅了した。

比嘉は「表情を意識してできたことが良かった」と振り返りつつ「(動きに)ばらつきがたくさんあった。お姉さん(先輩)たちと一緒に練習するだけでなく、プールが使える時間帯は自主練習もして直していかないと」と貪欲な姿勢を見せる。

東京五輪代表で、前日2日にデュエットを組んだ吉田萌(めぐむ、26)は「私にないものをたくさん持っている」と評価する。今大会中、比嘉と吉田萌は宿舎で同部屋。大人びた印象も漂う比嘉だが、朝が苦手で最終日も寝過ごしそうになった。吉田萌が「私がいなければ今朝は寝坊していた」と笑えば、比嘉は「(起こしてもらって)ありがとうございます」と、ちょっぴり恐縮気味に感謝した。

父寿光氏(41)はプロ野球広島の元選手で、前日には会場で観戦。言葉を交わすことはなかったものの、比嘉は「去年からさらにレベルアップしたところは見せられたかな」。

初めての日本選手権では、デュエットTRなど3日間で4種目をこなした。「小さい頃から憧れの舞台。緊張する場面もあったが、プールに飛び込んだ瞬間から落ち着いてできた」と自信を深めた。この日は世界選手権に向けた壮行会も会場で行われ「もっと頑張らないとという気持ちになった」。伸び盛りの14歳が、世界の強豪に全力でぶつかる。【奥岡幹浩】

◆比嘉(ひが)もえ 2007年(平19)9月15日生まれ、広島市出身。小学3年のときに友だちに誘われ、競技を始める。18、19年とJOC全国ジュニアオリンピックのソロを連覇。21年同大会ではソロに加えてデュエットとチームも制した。現在は広島観音中3年で、AS広島所属。身長171センチ。血液型A。