B1秋田ノーザンハピネッツが、日本一を“がりっと”つかむ。昨季のレギュラーシーズンは、過去最高勝率の5割7分4厘(31勝23敗)で、チャンピオンシップ(CS)に初進出(準々決勝敗退)し、クラブ史を塗り替えた。今季は10月1、2日のアウェー北海道戦で開幕。初陣を控える在籍7年目の中山拓哉副主将(28)が、頂点に向けてチャレンジャー精神で全力を尽くすことを誓った。【取材・構成=山田愛斗】

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北の大地から秋田の挑戦が始まる。北海道と開幕2連戦。中山は「やっとシーズンが始まるとワクワクしています」。今季チームスローガン「Got it!(がりっと)=手に入れた」のもと、レギュラーシーズン60試合で東地区を制し、その先のCSで日本一の称号を勝ち取る。「がりっと」は秋田弁で「本気で」「一生懸命に」の意味があり、常に100%を注ぐ。

秋田は北海道に昨季4戦全勝も、3試合が10点差以内で決着した。今節も接戦が予想されるが、中山の勝利への思いは人一倍強い。「個人的な話をすれば大学の同期(寺園脩斗)がいて、より負けたくない気持ちがあります」。開幕とともにアウェー6連戦がスタートするが「まずは土曜日(1日)の1試合を全力で戦います」と力を込める。

昨季はクラブ史上最高勝率を刻み、CSに初進出した。チームカラーの激しいディフェンスに加え、3点シュート(3P)成功率はリーグ1位の37・8%。新たな武器が躍進を支えた。

「最終的にCSに行けたのはチーム、個人としてプラスの経験。ただ、そこがゴールではないので、昨季の悔しい思いを1人1人が今季にぶつけられたら」

昨季、全54試合に出場した中山は、得意のスチールでリーグ9位の平均1・4と安定した成績を収めた。さらに3P成功率は20-21年の25・6%から34・8%に向上。「昨季はケビン(・ブラスウェルAC=現HC代行)に『もっと打っていけ』と練習からたくさん言われ、より打とう、打ち切るという気持ちが確率につながりました」。今季も積極的に3Pを狙う。

東地区は昨季リーグ王者の宇都宮、日本一経験がある千葉JとA東京を筆頭に強豪ぞろい。地区、リーグ制覇に向けて「僕たちはチャレンジャーなので、どことやるにしても、1つずつ勝つことだけにフォーカスしたいです」と強調。スチール王などの個人目標もあるが「最終的にチームが勝つことが一番。そこがすべてです」と言い切る。

26年10月に昇降格のないプロ野球型の新B1が開幕する。平均入場者4000人以上など入会へのハードルは高いが、白星を重ね、秋田ブースターを増やす。

「たくさん勝てば、より見に来てくれるでしょうし、だらしない試合をしたら、どんどん離れていくと思います。1試合1試合に全力で、また見たいと思われるように頑張ります」

東地区優勝、日本一、新B1への足場固め…。“がりっと”戦った先に最高の景色が待っている。

◆中山拓哉(なかやま・たくや)1994年(平6)7月24日生まれ、横浜市出身。上飯田小、上飯田中、東海大相模、東海大を経て同大4年時の17年2月に特別指定選手で入団。17-18年にB2スチール王、18-19年にB1スチール王。趣味はYouTube鑑賞や読書。ポジションはPG、SG。背番号「17」。182センチ、85キロ。血液型B。