錦織圭、今季の復帰を断念。男子テニスで、元世界4位の錦織圭(32=ユニクロ)が21日、今季の終了を明らかにした。マネジメントを行うIMGの担当者が発表した。担当者によると、今年1月に内視鏡手術を受けた左股関節唇損傷のけがは完治。10月に実戦に復帰する予定で、パワー全開で練習も行ってきたという。

しかし、練習中に、足首にひどい捻挫をし、約3~4週間の休養を余儀なくされた。その結果、錦織自身が今季の終了を決め、オフシーズンに入った。12月のトレーニングから来季に向け始動するという。

錦織は、19年9月の全米を最後に、ケガや病気の連鎖に悩まされている。同年10月に右ひじの骨棘(こつきょく=関節軟骨の変形)を取り除く手術を受け、長期離脱。20年8月には新型コロナウイルスに感染し、予定していた復帰が遅れた。

20年9月のオーストリア・キッツビューエルのツアー大会で復帰したが、同年は4大会に出て終了。21年から本格的な復帰に向け、実戦を重ねた。トップ復活に兆しが見えたのが6月の全仏だ。19年ウィンブルドン以来、4大大会での16強入りを果たした。

そして、「突然、戻ってきた」と復活を確信した7~8月の東京五輪へとつながる。1回戦で、世界7位のルブレフ(ROC)にストレート勝ち。18年11月に行われたツアー最終戦で当時3位のフェデラー(スイス)を破って以来のトップ10からの金星だった。

しかし、21年9月に腰を痛め、その後、左股関節の関節唇損傷が判明。五輪2度の金メダルを誇るマリー(英国)が引退寸前まで追い込まれたケガで、錦織自身も「人工股関節になってもおかしくなかった」という。結局、21年10月の米インディアンウエルズの大会を最後に、1年以上、実戦から遠のく形となる。

17日に発表された最新世界ランキングでは、約12年半ぶりに錦織のランキングが消滅した。しかし、半年以上、ケガで戦線離脱した選手は、公傷制度が利用できる。戦線離脱した時期の世界ランキングをもとに、公傷ランキングをつくられ、復帰の時は、その公傷ランキングを使って大会にエントリーが可能だ。

錦織の公傷世界ランキングは48位。4大大会本戦への出場は十分に可能。公傷ランクは、離脱していた期間によって、使える回数や期間に制限がある。半年から1年以内の離脱なら、使えるのは最大9回、9カ月以内。1年以上の離脱なら、復帰後、最大12大会、1年以内だ。錦織の復帰にあたっては、1年以上離脱が適用される。