結成3季目で初優勝を狙う「かなだい」村元哉中(29)高橋大輔(36)組(関大KFSC)が初の首位発進を遂げた。

しっかり息を合わせたツイズルやローテーショナルリフトで最高評価のレベル4を獲得。「前のめりだった」という高橋は「ちょっと鼻息が荒かったかな」と笑いつつ、村元が「確かにゾーンに入っていた感じ」という集中力で演技を完遂した。

リフトでは制限時間の7秒をわずかに超え、ディダクション(減点)1・00があったものの77・70点をマーク。ISU(国際スケート連盟)公認大会(10月のデニステン・メモリアル)の自己ベスト79・56点には届かなかったが、全日本では2人にとって初の70点台でフリーダンス(FD)へ前進した。

村元は「いい練習ができていたんですけど、氷に乗った瞬間に、急に緊張しちゃって」。高橋も「100%バシッと2人で息が合った感じと、硬い感じもあったんですけど、いい演技ができた」と振り返った。

初出場の20年大会はRD直前に村元が左膝を負傷。北京オリンピック(五輪)代表の最終選考会を兼ねていた昨年のRDでは、高橋が転倒していた。夢舞台を逃す要因となったが、引きずることなどなかった。「三度目の正直」へ自信にあふれていた。

村元「もしかしたら脳が勝手に感じていて緊張したのかもしれないですけど、ネガティブな、マイナスなイメージはなく演技に集中できた」

高橋も「今年のRDはリズム良くできていて、大きなミスは絶対にしない自信がある。あまり変な緊張感はなかった」

リフトの減点はグランプリ(GP)シリーズ第1戦スケートアメリカでも。0コンマ数秒の差で、高橋は「体感では…なんですけど日によって」というもの。村元は「最後の調整というか、足が着くのが今日はちょっと遅かったのかな」と説明。しっかり認識はできており、問題なさそうだ、

マリナ・ズエワ・コーチからは「ショーでは緊張しないでしょう。今日はあななたちのショーを楽しんできなさい」「契約するプーマ社が75周年。プーマのように滑ってきなさい」と送り出され、結果を出した。

初の首位スタートで24日のFDへ、村元「今日は今日。明日の練習と明後日の本番に向けて気持ちを切り替えて、自分たちができることに集中するだけ。全力で滑りたい」と燃えれば、高橋も「欲を出さずに。練習してきた以上のことはできないと思うので、今できる全てを出したいと思います」と引き締めた。【木下淳】