22日のリズムダンス(RD)で初めて首位発進した「かなだい」こと村元哉中(29)高橋大輔(36)組(関大KFSC)が、念願の初優勝を遂げた。

RDは77・70点で2位の小松原夫妻組と7・74点差をつけており、FDで「オペラ座の怪人」を舞い切って108・91点。合計186・61点で頂点に立った。

村元「すごいうれしい半面、最後の最後にやってはいけないミスをしてしまって悔しいんですけど、それまでは今季一番の演技で落ち着いて滑れたなと」

高橋「あの、ラストがね、もうちょっとの踏ん張りだったんですけど。まさかあそこでくるとは。そこが悔しすぎます。(2種目制覇に)イエス! 全日本を目指してやってきたので、100%ではないですけど、結果を残せてうれしかったです。(シングルとは)全く別物で、リアルにパートナーがいるのは、その時々でリアクションも変わってくる。本当にいい演技はそろわないと。できた時は1人以上に気持ち良く感じますね」

男子シングルの10年バンクーバー五輪(オリンピック)銅メダリスト高橋が14年の引退、18年の競技者復帰をへて19年9月にはアイスダンス転向を表明した。

翌20年1月に18年平昌五輪ダンス15位の村元と結成し、全日本は2位が2回。今回が出場3度目にして初の日本一となった。今季の開幕前に掲げた「全日本優勝」の目標を、テーマである「深化」を示し、つかみ取った。

高橋は男子シングル時代に5度の全日本制覇を果たしており、シングル時代はなかったリフトや2人で息を合わせるツイズルなどを習得。この日も、フィニッシュこそ転倒して悔しがったが、3種のリフトやツイズルにダンススピンなどを決め、男子とアイスダンスの2種目で日本一になるのは史上初となった。

過去の2種目V達成者はシングルとペアでは天野真と小林正水、ペアとアイスダンスでは道家敏充がいるが、シングルとアイスダンスを制した選手はいなかった。

「かなだい」としては今年1月の4大陸選手権で銀メダルを獲得し、今年10月のデニステン・メモリアル(カザフスタン)で国際大会初優勝を遂げていた。一方で全日本のタイトルだけは届いていなかった。21日の公式練習で「最高のクリスマスイブにしたい」と語っていた高橋、村元の1つの目標が結実した。【木下淳】

◆フィギュア全日本2種目V 過去の達成者はシングルとペアの天野真と小林正水、ペアとダンスの道家敏充がいるが、シングルとダンスを制した選手はおらず、高橋が初めてとなる。