富士通フロンティアーズが逆転で2連覇を遂げた。エースRBトラショーン・ニクソン(30)の3タッチダウン(TD)ラン、正QB高木翼(30)のTDパスなどで7度目の頂点に立った。

20年のライスボウルでMVPに輝いた高木は、この日も冷静に試合をコントロールした。

第1クオーター(Q)はパナソニックに研究されてラン、パスともに出ず。高木は「前半は自滅。相手の対策について考えすぎて受け身になっていたので、自分たちが今季やってきたことを信じて修正して。そして、迷ったらニクソンに渡そうと」と割り切った。

強靱(きょうじん)な肉体と優れたバランス感覚を併せ持ち、タックルされても止まらないニクソンが信頼に応える。第2、3、4Qに1つずつの3TDを含めて28回キャリー。両軍最多の188ヤードを獲得し、大会MVPに選ばれた。19年のライスボウルに続く2度目の受賞だった。

さらには、レギュラーシーズンも最多の531ヤードを走ってリーディングラッシャーになり、MVPに輝いた。中でも今回の戴冠は特別だった。「OL(オフェンスライン)が頑張ってくれたおかげ。シーズンMVPは、個人の活躍次第で仮にチームが勝てなくても受賞することがある。だけど、今回のMVPはライスボウルで勝たないともらえないもの。格段にうれしいよ。前回とも違う。当時は学生が相手だったけど、今回は米国の素晴らしい選手もいた強豪パナソニックだからね」と喜んだ。

ランで押した後は、高木が守備の分散を見極めて狙い、第3QにWR小梶恭平へ6ヤードTDパス。最終的には28回投げて17回成功の160ヤードを稼いだ。「行き着いたのは、QBとして大事なことは何かということ。それは勝つこと。徹するしかないと。だから迷ったら彼に渡して、空いてきたところは狙って」。忠実な選択が4TDでの逆転勝ちを呼び込んだ。【木下淳】