柔道のパリ五輪(オリンピック)日本代表(男女14階級)選考で唯一、内定者の決定が越年していた男子100キロ級で、東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27=パーク24)の連続切符獲得が確実となった。

重要な選考材料として、一騎打ちのライバルと出場したグランドスラム(GS)パリ大会(2月2~4日)。世界ジュニア王者の新井道大(19=東海大)より上位かつ表彰台に立つことが、ラスト1枠に逆転で入る条件だった中、新井が3回戦で敗退した後、自身は決勝進出。銀メダル以上を確定させていた。さらに、決勝でスペイン選手を内股の技ありで破り、東京五輪の後は1度たりともなかった国際大会の優勝を、最終局面でつかんだ。勝った瞬間、突き上げた両手に万感の思いを込めた。

昨年12月のGS東京大会は7位。五輪2連覇が消えたかに見えたが、快進撃の新井が準優勝で止まったことで命拾いした。2番手として東海大の後輩を追う立場に発奮し「年末年始も108キロくらいをキープできて、試合に近い体重で対策も練習もできた。仕上がりとしては、今までの中で1番いい」と自信を見せていた。結果が3年半ぶりの国際大会V、GSパリ初制覇だった。

出国前は「ここで勝つか負けるかでパリが決まってくる。これまでの柔道人生すべてを懸けた戦い」と闘志をみなぎらせ、土壇場で結果を残した。帰国後の今月中旬にも臨時の強化委員会が開かれ、ウルフが正式に2大会連続の代表に選ばれることが確実となった。