神奈川・日大藤沢高2年の平井瑞希(17=ATSC.YW)が、初の五輪切符をつかんだ。派遣標準記録(57秒34)を突破する56秒91で優勝。憧れの池江璃花子(23=横浜ゴム)を破ってパリ行きを決めた。

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初々しい表情で、平井が五輪切符をかみしめた。報道陣ひしめく取材エリアで、喜びを素直に表現した。

「すごくたくさんの方が応援してくれて、みんなの力で代表をとることができてうれしいです。とても緊張したけれど、本番のこと考えると、それはまだ足りない部分。いい経験になっているかなと思います」

入場から笑顔を忘れなかった。緊張高まる場でも「自信をもって入場したい」と志を貫いた。憧れの池江を追って50メートルを折り返し、最後は差し切った。タッチが合わずとも、池江に次ぐ日本女子2人目の56秒台。「(池江と)一緒に行きたいと思っていました。目標の選手。うれしいです」と喜びがあふれた。

普段は25メートル×5レーンの小さなプールが拠点だ。神奈川のアリーナつきみ野SC。高校進学を機に地元の愛知を離れ、家族で移り住んだ。かつて男子200メートルバタフライの世界王者本多灯を担当した萱原茂樹コーチへの師事は、複数の選択肢から選んだ。選手が考え、課題に向き合う短時間の練習。萱原コーチは「小さい子どもは筋肉がないのに浮く。でも、大人になると多くが筋力で浮こうとする」とし、太極拳をヒントに体の軸を作ってからの入水を指導する。外国選手に比べ体格に劣る日本人に合う、効率良い泳ぎを追い求める中、「瑞希は勘がいい」と特長を明かす。

前日17日の予選から準決勝、決勝と自己記録を更新し続けた17歳。最後のタッチなど反省点を修正すれば、さらに先の景色が見えてくる。「パリでメダルを取るのが目標。自己ベストを更新し続けられるような選手になりたいです」。高校生最後の夏が待ち遠しい。【松本航】