東京・淑徳巣鴨高2年の成田実生(17=金町SC)が五輪初出場を決めた。

高校新記録の4分35秒40で制し、派遣標準記録(4分38秒53)を突破。前日18日にパリ切符を手にした女子100メートルバタフライの神奈川・日大藤沢高2年、平井瑞希(ATSC.YW)と男子400メートル個人メドレーの栃木・宇都宮南高3年、松下知之(スウィン宇都宮)に続いた。20歳の谷川亜華葉(イトマン近大)が4分35秒60の2位で2大会連続五輪。東京五輪金メダルの大橋悠依(28=イトマン東進)は4分38秒89の4位となり、200メートルに全てを懸ける。

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ゴーグルの中で成田の瞳が潤んだ。自身初の4分35秒台で五輪を決めると「みお~!」と歓声が聞こえた。「最高の気分。本当に最後まで諦めずに頑張ってよかった」。前半の200メートルは「今までにない感じの“楽に速く”が今日、実現した」と力を残し、谷川、大橋と横一線で最後の自由形に入った。体全体を使って前へと進み、その先にパリ切符が待っていた。

高校生が起こす波に乗った。前日には同い年の平井、1学年上の松下が五輪出場権を獲得。同世代の姿を見つめ「松下選手の4個メに始まって、同い年の(平井)瑞希も大ベストで決めた。次は絶対に私が、という気持ちになった。すごく力になって泳げた」とパワーがわき出た。22年世界ジュニア選手権3冠に輝き、昨夏の世界選手権は8位入賞。早くから台頭した17歳も同じ舞台をつかんだ。

生後8カ月でプールに入り、水泳歴=年齢はリンクする。五輪の記憶は8年前のリオデジャネイロ大会。400メートル個人メドレーで萩野公介が金、瀬戸大也が銅メダルに輝くも、当時は「考えていなかった」と五輪で泳ぐイメージはなかった。そして3年前。東京五輪での大橋の金メダルを自宅のテレビで見守り、胸が躍った。「その後に全中(全国中学校大会)があって『同じように2冠したい!』と思った」。立場は一転し、今夏は自分が夢舞台で泳ぐ。

「パリオリンピックで決勝を戦うのが目標でした。今やっとスタートラインに立てた。もっともっと速くなる気持ちで頑張りたい」

心強い仲間と新時代の幕開けを告げる。【松本航】