男子200メートルバタフライで2月の世界選手権金メダルの本多灯(22=イトマン東京)が決勝に進んだ。

準決勝1組で1分55秒43を記録し、全体トップで通過した。21日の決勝で派遣標準記録(1分55秒27)を切り、上位2人以内で2大会連続の五輪代表に内定する。18日の400メートル個人メドレーはよもやの予選落ち。2月に痛めた左足首に違和感が残る中で「恐怖心」と向き合い、悲願のパリ五輪金メダルへステップを刻む。

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後続を大きく引き離しても、本多は危機感を抱いた。「思っている以上に体のコンディションは良くない。もう1歩、大きな壁を乗り越えられるように頑張りたい」。派遣標準記録に届かず、決勝へ課題を得た。

約1カ月前に念願の世界王者となった男に、不安があった。午前の予選は1分56秒37で全体2位通過。2日前の400メートル個人メドレーで予選落ちし「恐怖心があったのは間違いない。準決勝に残ることをイメージし、そこはできて良かった」と安堵(あんど)した。世界選手権前に左足首を捻挫。帰国後も2週間ほどは治療を優先し、確認で水につかる程度にとどめた。現在も違和感は残り、メドレーは平泳ぎに影響が出た。

バタフライは3年前の東京五輪で銀メダル。世界記録保持者ミラク(ハンガリー)らが不在だったが、世界王者の勲章も手に入れ「自分の力を出せば、代表権は必ず取れる」とプライドもある。堀之内徹コーチからは「休憩ができたと思って、2バタの選考で通ることをイメージしよう」と背中を押されて切り替えた。

21日夜の決勝は失敗の許されない一発勝負だ。「50メートルから怖がらずにいくことが一番。最後の50メートルまで常に1位を取って、逃げ切って勝ちたい」。五輪切符だけは譲れない。【松本航】