男子200メートル平泳ぎで2大会ぶり五輪を狙う元世界記録保持者の渡辺一平(27=トヨタ自動車)が、全体1位で決勝に進んだ。準決勝2組で2分7秒92。22年世界選手権銀メダル花車優(24=イトマン東京)が2位、1組トップの深沢大和(23=東急)が全体3位で続いた。日本記録保持者で全体4位の佐藤翔馬(23=東京SC)らが21日の決勝で争う五輪切符2枚。派遣標準記録(2分8秒48)を切り、2位以内に入れば代表内定する。

○…渡辺が2大会ぶりの五輪出場へ燃えている。準決勝でただ1人の派遣標準超えも「記録は気にしていない」と決勝だけを見つめる。普段の練習では同じ拠点の深沢と切磋琢磨(せっさたくま)しているが、この日のレース前は「互いに緊張している」と特に言葉は交わさず、己に集中した。出場権を逃した東京五輪の雪辱へ「僕にとって五輪は大切な場所。強い気持ちで臨みたい」と力を込めた。

○…世界を知る花車が青写真を描いた。準決勝は渡辺に次ぐ2分8秒99。2位だった18日の100メートルの疲れがありながら「自分の良さのスムーズさは出せている」と評した。決勝に向けて「スタートは正直、渡辺選手に離されます」と覚悟しつつ「泳速、泳ぎの精度に自信がある。150(メートル)で並んでいたら、自分も元気が出る。いけると思ったら150で前に出る気持ちでいきたい」と見据えた。

○…深沢は人生の大一番を迎える。渡辺、花車、佐藤とは別組のトップだったが、全体3位の2分9秒26となり「全然許容できるタイム」と受け止めた。昨春に入社した東急の理解を受け、秋からは水泳に専念。五輪に行けなければ、今大会限りで競技者から引退する。群雄割拠の決勝へ「負けたら引退ですが、負けるつもりはない。日本新を出して優勝します」と誓った。

○…2大会連続五輪を目指す佐藤は準備に徹した。準決勝は全体トップの渡辺の隣で「観察しながら泳いだ」と2分9秒89だった。決勝は積極的な仕掛けを心がける意向で「前半から(渡辺)一平さん、そこそこ(深沢)大和もいくと思う。そこを超えて入れるようにしたい」とイメージした。深沢は神奈川・慶応高、慶大の同学年で「一番大きな舞台で戦えるのは、すごくうれしい。しっかり勝ちたいと思う」と言い切った。