12年ロンドン五輪銀メダルの入江陵介(34=イトマン東進)の日本競泳初の五輪5大会連続出場が絶望的となった。決勝で1分58秒37の3位となり、五輪内定条件を満たせなかった。途中まで2位をキープも、ラスト50メートルで失速した。

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五輪切符を逃した。それでも入江の表情には充実感がにじんだ。「やれることはやった。最後は自分をほめてあげたい」とうなずいた。

「集大成」と位置づけて臨んだ決勝。派遣標準(1分56秒92)を切るペースで2位をキープしていたが、終盤に失速して3位でゴール。五輪5大会連続出場が絶たれた。「16歳の時からずっと代表に入ることが当たり前だった。代表から落ちて、こういう気持ちになるのは人生初めて。不思議な感覚」と表現した。

19日の100メートル決勝では2位に入るも、派遣標準を突破できず代表権を逃した。1位になれなかったことで、メドレーリレーでの代表入りも絶望的。この日の200に懸けていたが及ばなかった。「競泳日本代表は自分にとって家族のような場所。そこに入れないのはすごく寂しい」と素直な思いも口にした。けがやメンタル面の不調もあり、思うような練習をこなせなかった。「本当にしんどい1年間だった。心技体は大切だと感じた。こういう経験を後輩たちに伝えていくのが自分の役目かな」とかみしめた。

レース直後には、隣のレーンでパリ切符をつかんだ竹原と抱擁を交わして祝福した。「タケちゃんとは、2人でパリに行こうとずっと話をしてきた仲。この勢いのまま頑張ってほしい」とエールを送った。

今後については「今は何か明言できる場ではない。自分だけで何か伝えるのはまだ早い」と話すにとどめた。それでも「やり残したことはない。やりすぎちゃったかなって思っています」。全力で泳ぎ切った顔は晴れやかだった。【奥岡幹浩】

◆入江陵介(いりえ・りょうすけ)1990年(平2)1月24日、大阪市天王寺区生まれ。近大付高-近大。08年北京五輪は200メートル5位。09年世界選手権は100メートル4位、200メートルで銀メダル。11年世界選手権、12年ロンドン五輪は100メートル銅メダル、200メートル銀メダル。400メートルメドレーリレーでもロンドン五輪銀メダル、13年世界選手権銅メダル。100メートルの52秒24、200メートルの1分52秒51は日本記録。178センチ、64キロ。