東京五輪2冠の大橋悠依(28=イトマン東進)が、2大会連続の五輪代表に内定した。

女子200メートル個人メドレーを2分9秒17で制し、派遣標準記録(2分10秒70)を突破。内定を逃せば引退と決めていたラストチャンスで、勝負強さを発揮した。2位の松本信歩(東京ドーム)も五輪切符。男子100メートルバタフライは松元克央(ミツウロコ)が優勝し2種目目の内定を決め、2位の水沼尚輝(新潟医療福祉大職)も2大会連続出場をつかんだ。

   ◇   ◇   ◇

最後まで勝負に徹した。トップで入ったラスト自由形。追いすがる松本、成田との差を、左側の呼吸で確認しても「最後のタッチまで大丈夫と思わない」と言い聞かせた。得意の背泳ぎで先頭に立ち、3強と予想された2人の後輩を引き離した。目を見開いてタイムを確認すると、左拳を振った。「こうやってまたオリンピックに行ける。チャレンジできるのはすごくうれしい」と笑った。

8日間を締めくくる最終日の本命種目。5日前の400メートルで内定が出ず、共に練習する34歳の入江陵介も切符に届かなかった。「間近で努力をしているのを見ていた人が代表落ちするのを見て、すごく苦しかった」。一発勝負に“絶対”はなく、負ければ現役引退と決めていた。支えは昨秋に覚悟を決めて再開した400メートルで育んだ土台。積み上げた練習を信じ「最後に自分の力を出して終わるか、自滅してチャンスを逃すのか。(相手に)上回られたら、それだけ」と腹をくくった。

3年前の夏、同じプールで2つの五輪金メダルをかけた。コロナ禍で会場に観客はいなかった。パリの光景を想像し、胸が躍った。

「集大成になる。一番いい泳ぎをしたい。目指すは(自身の日本記録2分)7秒91。出していくことでメダルに近づくと思います」

定めたゴールへ、思い切り突っ走る。【松本航】

▽女子200メートル個人メドレー2位で代表入りの松本信歩 自信もあり、不安もあり、緊張もあった。ずっとこの種目のための練習をしてきたので、代表権を獲得できてほっとしている。

▽女子800メートル自由形1位の小堀(派遣標準には届かず)「この種目に関してはそこまで練習ができていなかった。個人種目では出られない悔しさを(選出が見込まれる)リレーにぶつけたい」

▽男子1500メートル自由形1位の今福(高校1年生は派遣標準突破ならずも喜びの涙)「感謝の気持ちでいっぱい。ロサンゼルス五輪までたくさん練習を積んで、五輪で戦える選手になりたい」