宇都宮ブレックスが16連勝を飾り、2019-20シーズンにつくったチームの連勝記録を更新した。

最高のシチュエーションだった。新記録をかけた相手は、2月14日の天皇杯準決勝で21点リードから衝撃的な逆転負けを喫した千葉J。選手たちの感情は、連勝記録よりもリベンジに向いていた。

「みんな気合が入っていた」と比江島慎。第1クオーター(Q)からエナジー全開で千葉Jを圧倒した。25-15で第2Qに入るとさらにギアをあげて、前半終了時点で53-24と29点のリード。天皇杯準決勝時の最大リードから、さらに8点積み上げた。

同じ失敗は繰り返さない。第3Q、千葉に一気に15点差に詰め寄られ、天皇杯の悪夢がよぎる。しかし「前回は個人で打開しようとして孤立して流れを悪くしてしまった。今回は流れの悪い時こそ、よりボールを動かそうと意識した」と比江島。第4Qに7本の3ポイント(P)シュートを集め、今度こそ逃げ切った。

4本の3Pを成功させ、今季自己最多タイの15得点をマークした渡邉裕規は「天皇杯の時は試合に1秒も出ずに逆転負けして本当に悔しかった。今日はやり返すことだけに集中していた」と話した。

2度のリーグ優勝を知るベテランは、チームの流れが悪くなるたびに「シンプルにやろう」と仲間に声をかけたという。「雑なプレーをしない。ボールを取るか取らないか。最後はここ。(リーグ優勝までは)あと2カ月、連勝を続けないといけない」と力を込めた。

天皇杯でファウルアウトになり、「僕のせいで負けた」と反省していた比江島も、やり返せたことを大きく評価。「守備の流れが悪い時でも攻撃でリズムをつくることができるのが今季のチーム。誰が出てもチーム力が落ちない」。

今季は公式戦50試合(リーグ戦46、天皇杯4)で連敗は1つもなく、同じ相手に続けて負けたこともない。やられたらやり返す。シンプルな思考で、勝ち星を積み上げている。

佐々宜央(さっさ・のりお)ヘッドコーチは「苦しい状況の時でもボールを動かし続けてくれた。連勝を伸ばしている選手たちを誇らしく思う」と話した。千葉Jに同じ負け方をしていたら、チャンピオンシップに不安を残すところ。憂いを取り除き、頂点まで突き進むだけだ。【沢田啓太郎】