今夏のパリ五輪(オリンピック)代表で、史上初の兄妹同日2連覇を目指す男子66キロ級の阿部一二三(26)と女子52キロキロ級の詩(23=ともにパーク24)が、完全優勝した。五輪前最後と予定している実戦で、そろって全5試合をオール一本勝ち。盤石の実力差を見せつけた。

ともに昨年12月のGS東京以来4カ月弱ぶりとなる大会。先に登場した妹の詩は、初戦の2回戦からアベウオワ(カザフスタン)に払い腰、ンディアイ(スイス)に隅落とし、デグチ(カナダ)一本背負投げ、ジフリダ(イタリア)に腕緘(うでがらみ)で快勝。決勝では東京五輪銅メダルのチェルシー・ジャイルズ(英国)すら寄せつけず、開始9秒の内股で秒殺した。

昨秋から腰痛を抱えていたが、世界選手権2連覇中の女王に敵なし。「状態が100%ではない中で、どう勝ち切るか」をテーマに本番を想定し、結果、不安を一切感じさせなかった。

兄の一二三も続く。同じく初戦の2回戦からハル(英国)を袖釣り込み腰、ブシタ(モロッコ)を小外刈り、バヤンムンフ(UAE)を袖釣り込み腰で難なく下すと、準決勝では昨年の世界選手権で3位に入ったキヤー(フランス)を大外刈りで豪快に倒した。

決勝もエモマリ(タジキスタン)を開始49秒の大内刈りで畳に沈め「しっかり自分の柔道を出し切って、パリ五輪に弾みをつけたい」と話していた大会で、最後まで涼しい顔が崩れなかった。

女子48キロ級もパリ五輪代表に内定しており、世界選手権3連覇中の角田夏実(31=SBC湘南美容クリニック)が全5戦を一本勝ちで頂点に立った。