柔道の今夏パリ五輪(オリンピック)代表に内定している男子100キロ超級の斉藤立(22=JESグループ)が2日、グランドスラム(GS)アンタルヤ大会(3月29~31日、トルコ)を終えて東京・羽田空港に帰国した。

決勝で怪物テディ・リネール(34=フランス)と再戦したが、残り31秒で逆転負け。「負けた時は本当に無駄な負けというか、もったいない負けだったので、余計に悔しくて」と振り返りながら「今も悔しいんですけど、負けて自信がついた試合は初めて。もう恐怖心は何もない」と続け、収穫を強調した。

五輪制覇2度、世界選手権は2階級で通算11度の優勝を誇るパリの英雄に、昨年5月の世界選手権ドーハ大会で敗れて以来となる2度目の挑戦。指導2を先行しながら、内股を返され、表彰台で涙が止まらなかった。

「そりゃ今までだって人知れず泣いてましたよ、負けた時は。言わせないでください」といつも感情に素直だが「指導が2-1とか2-2じゃなくて2つリードしてたので、両者指導を狙っても良かったし、崩さずに(技を)かけにいったことが悔やまれますね。でも、準備がドンピシャだったので。本番では絶対に対応してくると思うけど、次は最後まで冷静でいたい」と、次こそ勝ち切るイメージを描いた。

遠征期間中に、新社会人になった。1日に行われたJESグループの入社式は欠席。国士舘大4年の最終月に「学生のまま出発して大学最後の31日に試合をして、帰ってきたら社会人になってたす」とまた笑いつつ、諸先輩が日本代表のジャージー姿の中、仕立ててもらっていたスーツのジャケットを披露。「入社式は人生に1度なんですけど、仕方ないですね。当たり前のことをする、常識ある社会人になりたい」とした。

今大会がパリ前は最後の実戦機会と位置付けていたが「途中まで試合勘が鈍っていると感じたので、もしかしたら(もう1試合)。状態を見ながら」。万全に仕上げ、今回つかんだ手応えを、自信を確信に変えるパリへ。この日からちょうど4カ月後の8月2日、男子100キロ超級の実施日へ着実に歩みを進めていく。【木下淳】