12日夜、世界ランキング5位の日本が同3位のポーランドを3-1で破り、今年もバレーボールネーションズリーグ(VNL)の注目度が高まってきた。
その大会で運営側が、SDGsの取り組みも加速させている。
これまでVNLでは、サステナブルな大規模国際大会を目指すため、フードロス削減やゴミの分別などに取り組んできた。新たに今年の千葉大会で着目しているのは「水」だ。
日本政府が承認している世界196カ国のうち、水道水を安心して飲むことができる国は10分の1以下しかない。VNL2025千葉大会組織委員会は、その中の1つである日本から、安全な水がいつでもどこでも手に入る日本から、貴重さを発信することにした。
「私たちの暮らしに欠かせない『水』。飲み水はもちろん、炊事や洗濯など、私たちの生活、健康、命を根底から支える、最も身近で大切な資源です。大規模国際スポーツ大会も、食事や飲み水、トイレやシャワーだけでなく、大会に関連する製品を作る時にもたくさんの水を使います。VNLも『水に支えられている』といっても過言ではありません」
さらには「観客の皆さまに『スポーツ×水』の関係性を感じていただき、楽しみながら、水について考えるきっかけにしてもらいたい」との思いから、新たな取り組みの展開を始めた。
それが、大会に関わる水についての調査。主催者によると「日本で開催された大規模国際スポーツ大会としては初めて」という試みである。
この調査は、シャワーやトイレなど「直接的な水消費」に加え、物品を作る時に用いられる「間接的な水消費」(見えない水)も含むことにした。例えば、大会に欠かせないバレーボール「1球」を作る過程で、どれほどの水が使われているのか。
計算し、導き出された答えは「約12リットル」だったという。工場などで素材から1球を仕立て、コートで使われ、大切にメンテナンスされて、最後に捨てられるまで。いわばボールの“生涯”に使われる水の量が12リットルで、これは人間のシャワー1分間に相当するという。
VNLでは、調査の一部をこのようなクイズ形式にして、来場者への参加を呼びかけている。回答とアンケートに参加したファンには(1)会場で毎日先着350人にオリジナル缶バッジ(2)抽選で5人に選手のサイン入りグッズ、をプレゼントする企画を実施して、啓発している。
昨年のVNLが行われた福岡県から、今年の会場「千葉ポートアリーナ」までの移動に使われる水の量(福岡市から車、飛行機、電車を使った場合)は「約60リットル」。このような興味深い数字の数々が、バレーボール大会との異色のコラボとして、会場の特設ブースで楽しめる。
大会組織委の担当者は「地球上の全ての水を浴槽1杯分(約200リットル)に置き換えた場合、私たちが使える川や湖の水は、わずかスプーン1杯分(約20ミリリットル)しかありません」と強調する。
「この貴重な水を私たちは分け合いながら、日々生活し、さまざまな活動をしています。世界では、いまだ水害、水不足、水質汚濁などの諸問題に直面しており、この日本でも、気候変動の影響などから豪雨や渇水といった極端な現象、水道施設の老朽化といった問題に悩まされることが増えてきました」
その中で、限りある資源の「水」を次世代へ引き継ぐために-。年々、世界からの視線が増しているVNLという大規模スポーツ大会をきっかけに、試合を楽しみながら「水」に関する考えを促す取り組みが、コート外で進められている。【木下淳】


