全日本柔道連盟は5日、ロンドン五輪で史上初の金メダルゼロに終わった男子日本代表の新監督に、井上康生氏(34)が就任したと発表した。篠原信一前監督(39)は辞任した。都内で会見した井上新監督は「総合力」をテーマに掲げて“改革”を宣言。柔道界再建に向けて熱い思いを語った。女子の園田隆二監督(39)は留任となった。新体制は講道館杯(10、11日・千葉)からスタートする。

 全柔連の上村春樹会長は井上新監督に、新しい指導者の姿を求めた。「若いというが私も同じ34歳でヘッドコーチになった。まだ練習もできて、体で教えることもできる。それをやってほしい。シドニー五輪では全部一本勝ちし、アテネで五輪の怖さも知っている。力や技だけでは勝てないという心構えもすべて指導してくれると思う」と期待した。

 立て直しは容易でなくリオ五輪までの4年間は厳しさを増す。篠原前監督について「『もともと4年間のつもりでいました』と、後で聞いた」と明かした上で、新体制には「適材適所のコーチを見つけてほしい。鈴木桂治もおとこ気がある人間。手伝ってくれると思う」。井上監督と競ったアテネ五輪100キロ超級金メダリストで現国士舘大監督の名前も挙げながら、若き指導者世代に託した。