<卓球:JA全農世界選手権団体戦>◇第2日◇29日◇東京・代々木第1体育館◇男女1次リーグ

 浪速の絶叫JKが、代表初出場初勝利だ。今年の全日本選手権準優勝で、日本初代表の森さくら(18=昇陽高3年)が、米国戦でデビュー。女子高生対決となった世界237位のジャ(17)をフルゲームで破り、日本女子の3-0勝ちに貢献した。続くハンガリーにも勝ち日本女子は3戦全勝となった。男子団体世界3位の日本は同20位のルーマニアを下し初白星を挙げた。

 若さあふれるフォアのドライブがうなる。うなるのはフォアだけじゃない。最終ゲーム、一気に6点を連取して試合に勝つと、「ギャー!!」と、会場中に森の絶叫がこだました。アニマル浜口ばりの気合の連発で、日本の3-0勝ちに貢献だ。

 初の大舞台に「すごい緊張した」。ゲームが終わる度に、ベンチに戻ると、右手が震えていることを指摘された。自分で気がつかないほどの緊張だった。「独特の雰囲気だった」。それでも、何とか勝利に結びつけた。

 相手のジャの緩急にはまった。ジャは、森より1歳年下ながら、すでに2度の世界選手権を経験している。「やりにくい相手だった」。森が常にゲームを先行するものの、すぐに追いつかれた。最終ゲーム。一進一退の攻防から抜け出したのは、森のガッツポーズと「ギャー」の連発だった。

 1月の全日本選手権で、平野早矢香、福原愛をなぎ倒し決勝に進出した。石川佳純に敗れたが、準優勝で、今大会の代表に選ばれた。初めて参加した代表合宿でも、「私にはそれしかない。声を出すことが持ち味」と気合を入れすぎて、雄たけびを連発。石川らが耳をふさぐ場面もあった。

 村上恭和代表監督も「もっとかっこいいガッツポーズを教えたんだが」と苦笑い。監督のアドバイスもどこ吹く風で、自己流の気合を連発だ。しかし、そこは17日に18歳の誕生日を迎えたばかりの女子高生。気合の卓球とは違う一面をのぞかせる。

 昇陽高では、普通科で、お菓子作りのパティシエコースを専攻。白い調理着に身を包み、実習でお菓子作りに励む。直前合宿中に、インフルエンザを発症し40度の高熱が出たが「大丈夫。こんな大きな舞台を味わえるのは一生に1度だと思ってやっている」。お菓子と一緒で、森にとって、この日の勝利の味は甘かった。【吉松忠弘】

 ◆森さくら

 1996年(平8)4月17日、大阪市生まれ。3歳で卓球を始め、04年全日本バンビの部(小2以下)優勝。今年の全日本では、ジュニアでは準々決勝で敗れたが、一般の準決勝で福原愛を下す大金星。準優勝し、初の日本代表入り。158センチ、55キロ。

 ◆卓球の叫び

 最も有名なのは、福原愛の「サー!」。初めて出場したアテネ五輪で、福原の卓球を見た日本中の人が「あれは何て言っているの?」と社会現象になった。石川は「ヨー!」。最初は「よっしゃー!」などの言葉だったが、それが短くなったというのが定説。本当のところは不明。また、日本選手特有のものではなく、世界トップの中国選手らも何かしらの音を叫んでいる。