<高校ラグビー:御所実117-7中標津>◇2回戦◇30日◇花園

 夢の舞台、花園で全力を出し切った。12大会ぶりに2回戦に進出した中標津(北北海道)は、Bシードの御所実(奈良)に完敗し、初の3回戦進出はならなかった。北海道勢の大会最多失点となる117点を奪われ、110点差での敗北と力差は歴然。それでも7000人の大観衆のなか、第1グラウンドで堂々と戦い抜き、山口昂希監督(32)は「60分間よくやってくれた。100点取られたけど、100点をあげたい」と選手たちの健闘をたたえていた。

 全国制覇を狙う相手は、攻守でスピードが上回った。試合開始直後、1分足らずで自陣ゴール前30メートルラックから展開され、先制トライを許すなど、劣勢が続いた。7人制ユース五輪日本代表の俊足、WTB竹山晃暉(3年)ら、2大会前の準優勝経験メンバーが5人残るチームに終始圧倒され、19トライを献上した。

 それでも意地は見せた。1トライはフィフティーンの集大成だった。前半13分、敵陣ゴール前10メートル左中間からの相手反則で得たPKからCTB川村晃大(3年)がクイックスタート。唯一のトライをもぎ取った。「少ないチャンスで来た!

 と思った。絶対に俺が取ってやるという気持ちだった。たまたま自分が取ったけど、チームで取ったもの」と川村。日ごろ重視するタックル練習の成果が演出した絶好機。15人の勝負を諦めない気持ちがゴールラインを割った。

 過去6度花園出場も、11年秋、部員が11人まで減少。そこから8大会ぶりの花園出場を果たし、1回戦で12大会ぶりの1勝を挙げた。現3年生が引退すると、部員9人で再び部員不足の危機となる。今大会の結果は十分、人口2万4000人の小さな町を盛り上げた。山口監督は「全国のチームを見られたのは私にとって良い経験。勉強し直していきたい」。再び聖地への挑戦が始まる。【保坂果那】

 ▼中標津が御所実に117失点するまでの道勢最多失点は、12年度大会2回戦の遠軽が東福岡に奪われた102失点だった。