神戸製鋼が優勝に王手をかけた。31-19でトヨタ自動車に勝利。元ニュージーランド代表で世界的SOダン・カーター(36)が21得点を挙げる活躍で、終了間際には勝負を決めるトライまで演出した。トップリーグ(TL)は創設元年の03年以来15季ぶり、日本選手権としてはサントリーと同点優勝だった00年度以来18大会ぶりの制覇まであと1勝に迫った。決勝は15日に東京・秩父宮で行われる。

役者が違った。終了まで残り2分。神戸製鋼のリードはわずか5点だった。緊迫した状況で、ニュージーランド代表112キャップを持つカーターは中央を突破した。タックルをかわし、空いた相手インゴールへ絶妙のパントを上げる。そのボールをWTBアンダーソンが押さえ勝負は決まった。カーター1人で1トライ2ゴール4PGで、21得点を稼ぐ活躍。TLは15季ぶり、日本選手権は18大会ぶりの優勝に王手をかけた。

「私が起点になることが多かったのは、FWが勢いをつけてくれたから。長く神戸にいた選手から、このチームとはどういう意味を持つチームかを教わった」

11月のある日、OBの会食に呼ばれた。95年1月15日に日本選手権7連覇を達成。その2日後に、阪神・淡路大震災に見舞われた。16年10月20日には、チームを支えてきた平尾誠二さん(享年53)が胆管細胞がんで他界。神戸の歴史を聞いた世界的SOは、優勝への思いを強くしたという。

決勝の相手は00年度の日本選手権で優勝を分け合った因縁のサントリーだ。SH日和佐は古巣との対決に「気合が入るのは当然。うちには経験豊富なSOがいる」。新たな歴史を刻む時が近づいた。【益子浩一】