日本代表は3日、1次リーグA組第3戦のサモア戦(5日・豊田スタジアム)の登録メンバー23人を発表した。愛知・豊田市内で会見したジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、49)は、3試合連続先発となるWTBレメキ・ロマノラバ(30=ホンダ)らを起用。先発15人は第2戦から3人を入れ替えた。決勝トーナメント進出へ、サモア戦は4トライ以上で追加されるボーナスポイントが大きな意味を持つ。トライを渇望し、自らを所属するホンダの看板スポーツカー「NSX」にたとえた快足フィニッシャーのレメキが、切り札になる。

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少し表情が暗かったレメキに、ようやく笑みが浮かんだ。会見の終盤、報道陣から「自身のプレースタイルを(所属の)ホンダの車に例えたら」と問われると、待ってましたとばかりに「NSX!」と即答した。王国ニュージーランドにルーツを持ち、14年に日本国籍を取得したWTBは、国産の名車を名乗った。会見場を去る際には「(価格は)2700万円。勝ったらもらえる」。確約は一切ないようだが、ちゃめっ気たっぷりに言い放った。

開幕戦のロシア戦と、大金星を手にしたアイルランド戦に先発出場。キレのあるステップと強靱(きょうじん)なフィジカルで、相手防御を崩し、何度もチャンスを演出。チームの2連勝に貢献してきたが「仕事としてトライを取らないといけない。そこの仕事ができていない」。点取り屋として、ここまでのノートライを悔しがった。

トヨタのお膝元にあるが、縁起の良いスタジアムだ。最後にテストマッチでトライを奪ったのが昨年6月のジョージア戦。その会場だった豊田スタジアムで再現を狙う。隣県三重に住む家族も試合会場に来るといい「家族の応援がイチバン」と応援も味方につける。

初の決勝トーナメント進出へ向け、4トライ以上取ってボーナスポイント(1)を獲得できれば、最終戦のスコットランド戦を優位に戦える。「たくさんトライを取りたい。相手は大きいけど、こっちの方が速い」。とにかくトライに飢えているレメキが切り札だ。同じWTBでは、福岡と松島がすでにトライを挙げた。開幕からの盛り上がりの中、ジョセフHCから開幕戦の3トライで「フェラーリのよう」とたたえられた松島が、続くアイルランド戦を前に「僕の中でのフェラーリは福岡堅樹」と語り、盛り上がりをみせた。一連の流れから「NSX」を名乗るレメキが、試合開始からフルスロットルでグラウンドを駆け回る。【佐々木隆史】

◆レメキ・ロマノラバ 1989年1月20日、ニュージーランド(NZ)オークランド生まれ。両親はトンガ人で、父は同国のプロボクサー。4歳でラグビーを始める。NZのリストン・カレッジ在学中に家族でオーストラリアに移住。09年にキヤノン入りで来日。11年からマツダ、14年からホンダ。16年リオデジャネイロ五輪の7人制日本代表。家族は恵梨佳夫人(33)と3男1女。サーモンが好物。趣味は日曜大工。愛車はホンダ・ストリーム。

◆W杯1次リーグ順位決定方法 各組上位2チームが決勝トーナメントに進出する。勝ち=4点、引き分け=2点、負け=0点の勝ち点制で争う。4トライ以上、7点差以内の敗戦には、それぞれボーナスポイント1点が加算される。勝ち点が並んだ場合は(1)直接対決(2)得失点差(3)トライ数差(4)得点数(5)トライ数で決着。ここまで並んだ場合、19年10月14日時点の世界ランキング上位チームが上位。