ラグビーW杯で初の8強を狙う日本代表(世界ランク8位)が8日、1次リーグ最終戦となる同9位のスコットランド戦(13日、日産スタジアム)に向け、都内で調整した。

フランカーのリーチ・マイケル主将(31=東芝)は上昇機運を高めるため、東京・丸の内に設置されている自身の像を来年1月にも母校・札幌山の手高の佐藤幹夫監督(58)に贈ることを決めた。かつて恩師と交わした約束を自ら果たす。

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スコットランドとの大勝負を5日後に控えたこの日、リーチはプロップ稲垣らと談笑するなどリラックスした表情で練習に励んだ。報道陣に公開された冒頭15分ではダッシュなどを繰り返し、その後は次戦への対策やサインプレーの確認などに着手した。

来日して15年が経過した。日本代表の主将としてW杯8強の夢と同時に、高校の恩師との約束を自ら果たそうとしている。それは、母校のラグビー場に自身の像を建てることだ。幸運なことに来年1月にも実現しそうだ。

今年4月、W杯スポンサーの三菱地所が、東京・丸の内に大会の機運醸成を図るためにベンチアートのリーチ像を設置した。JR東京駅からも近く、観光客の話題の撮影スポットにもなっている。同社によると、リーチ像は「ほぼ等身大」の強化繊維プラスチック製で、ボールを持ちながら相手を振り払って突破するシーンをイメージした。展示はW杯終了後の12月末までで、その後の所有権はリーチにあるという。

それを知ったリーチは今春、佐藤監督に「丸の内にある僕の像を学校へ贈りたい。大丈夫ですか?」と連絡した。佐藤監督は「本当!? もちろん、いいよ」と快諾した。実は、佐藤監督はリーチが高校生の頃、「日本代表に選ばれたらラグビー場に銅像を建ててやる」と約束したが、大学2年で代表デビューした。予想以上に早く“難題”をクリアしたため、ハードルを上げて「代表主将になったら建てる」と再度約束。6年後に代表主将に任命された。結局、予算の都合などで実現されず、三度目の正直として、リーチから“銅像”でなく、プラスチック製のリーチ像を贈ることになった。

佐藤監督は「1つ1つ夢をかなえるマイケルは本当にすごい。まさか、像をもらう側になるとは想定外だった。後輩たちの活力にもなってありがたい」と、教え子の粋な計らいに感謝した。リーチ像は来年1月にも高校の正面玄関に設置され、桜が咲く5月ごろにラグビー場にある桜の木の下に移設予定という。

北海道で育った闘将は桜のジャージーを胸に、一足先に横浜の地でW杯ベスト8という満開の花を咲かせる。【峯岸佑樹】

◆リーチ・マイケル 1988年10月7日、ニュージーランド・クライストチャーチ生まれ。札幌山の手高への留学で来日し、東海大を経て東芝。08年11月米国戦で日本代表デビュー。W杯は11年から3大会連続出場。13年に日本国籍を取得。家族は知美夫人と長女アミリア真依ちゃん。190センチ、110キロ。