4連覇を狙う天理大が立命大を73-7で圧倒し、開幕5連勝を飾った。上位4校の全国大学選手権出場を確定。今節の2試合(10日)次第では、17日同大戦(滋賀・皇子山)で今季1試合を残して優勝を決める可能性が出てきた。

前半1分にNO8ジョネ・ケレビ(2年)が先制トライを決め、計11トライで主導権を譲らなかった。近大は40-36で大体大を下して2勝3敗。10日の京産大戦に臨む同大(4勝)も、3大会ぶりの同選手権出場を決めた。

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試合開始36秒、天理大による連続攻撃を右大外のケレビが締めくくった。先制トライで波に乗り、ボール争奪戦では180センチ、105キロの体をフル活用。ラインアウトでも存在感を発揮し、フィジー出身の留学生は「持ち味は防御。1試合ずつ成長できている」と開幕5連勝を冷静に喜んだ。

9月21日、ケレビは札幌ドームにいた。ワールドカップ(W杯)日本大会の1次リーグD組。オーストラリア代表のCTBを担う兄サムが躍動し、39-21で母国フィジーを破った一戦を見た。「自分の家族が名前を(ファンに)呼ばれ、活躍した。誇らしかった」。後半29分にトライも決めたサムは、5試合中4試合に先発して8強に貢献。今季はサントリーでプレーする兄の姿に、刺激を受けないはずがなかった。

3季前まで天理大のFBを務めた長兄ジョシュア(現秋田)の背中を追い、3兄弟の末っ子は奈良にやってきた。「天理のみんなは温かく迎えてくれて、全く不安はなかった」。1年時から頭角を示したが、明大に敗れた昨季の全国大学選手権決勝は出番なし。今春卒業したNO8マキシらの活躍を目に焼き付け「あと1歩。だから、今年は日本一になりたい」と日本語で誓う。真価を示す冬へ、エンジン全開だ。【松本航】