結果は自己責任!?

 日本男子代表の篠原信一監督(37)が、選手に異例のハッパを掛けた。柔道世界選手権は9日、東京・代々木第1体育館で開幕する。8日、都内で抽選が行われ、組み合わせが決まった。奈良から単身赴任して都内で選手を鍛え抜き、自ら大会の広告塔の役目も果たした篠原監督は「これだけやってダメなら選手のせい」と豪語した。初陣の昨年は金メダルゼロ。世界大会で日本男子初の屈辱を味わった。そのリベンジへの思いと責任を、最後に選手に託した。

 開幕前日を迎えても、篠原監督はいつも通り豪快だった。「選手が畳に上がったら、私は何もできない。これだけやってダメなら選手のせいですよ」と冗談交じりに笑った。「責任は私が取る」というのが、どの競技でも監督の決まり文句。だが、篠原監督は口が裂けても?

 そうは言わず、報道陣を通して選手に異例のハッパをかけた。

 自分にも、選手に対してもそれだけの自信がある。「やることはやった。選手も私も自負している」。5月から地元の奈良を離れて、都内で単身赴任を始めた。これまで代表選手の強化は所属先や個人に任されることが多かったが、都内に集結させて合同練習を行った。海外遠征も重なり、家族の元にはほとんど帰れない。「子供には『お父ちゃん、また帰ってきてね~』と言われる」と苦笑いするほどだった。

 広告塔の役割も担ってきた。スター不在の現状で、篠原監督自身がバラエティー番組にも出演して、今大会をPRした。時には全裸で合宿先の風呂場を紹介。アソコの大きさを強調する選手がモザイク代わりに「重量級」と隠されたのと対照的に、笑いのオチとして「軽量級」と張られることもあった。「(中継局の)フジテレビがオレを笑い(キャラ)にする」と苦笑するが、盛り上げ役を買って出ている。

 昨年の金メダルゼロという史上初の屈辱は忘れていない。「ゼロはないだろうという甘さもあった。気持ちを入れ替えてやって、選手も応えてくれた」。選手との距離も縮まり、100キロ超級の鈴木は「最高の監督の下で、最高の結果を出したい」と壮行会で宣言してくれた。やり残したことはない。後は選手に託すだけ。「選手にも言うが、敵は己にありです」。渋くキメた後「ここ使ってください。スーパー(文字)入りで」と笑いを忘れなかった。【広重竜太郎】