大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕後、日本相撲協会から解雇されたロシア出身の元幕内若ノ鵬(20=起訴猶予)が、地位保全を求めた仮処分申し立てについて、東京高裁(吉戒修一裁判長)は9日、東京地裁の却下決定を支持して解雇を不当と認めず、元若ノ鵬の即時抗告を棄却する決定をした。

 元若ノ鵬側の弁護士によると、高裁決定は「力士の身分をはく奪する重大な懲戒処分には、本人に弁明の機会を与えるべきだった。今後、処分の基準や手続きを整備するよう期待する」などと相撲協会に要望しているという。弁護士は「生活費の問題もあり、早期の帰国も視野に入れ、対応する」とコメントした。

 元若ノ鵬は「過去の事例と比べて処分が厳し過ぎる」と解雇無効を求めて提訴。在留資格の喪失による強制退去を防ぐため仮処分も申し立てたが、東京地裁は10月、「大麻所持は重大な違法行為」と退けていた。