八百長問題で揺れる日本相撲協会は22日、東京・両国国技館で理事会を開き、伊藤滋外部理事(79=早大特命教授)から、調査を継続しつつ、本場所再開を検討すべきとの意見が出た。同理事が座長を務める特別調査委員会の調べは、長期化することが確実。放駒理事長(63=元大関魁傑)は、本場所開催は全容解明の後との姿勢を崩していないが、状況次第で夏場所(5月8日初日、両国国技館)から再開の可能性も出てきた。

 「調査は、当初の予定より長引くのか?」。外部理事を務める調査委の伊藤座長は、記者会見でこう聞かれると、べらんめえ調で切り出した。

 伊藤座長

 これ、つらいんだ。もし、携帯の調査だけしつこくやって、1年かかったら、どうすんの?

 あんたら(報道陣)だって飽きちゃって「早くやれ」なんて言うでしょう。大阪では、そういう声が出ている。「調査は調査でやんなさいよ、だけど、本場所をどうするかは、別問題で考えなさいよ」って。それも一理あると思った。

 春場所中止を発表した6日、放駒理事長は「膿(うみ)を完全に出し切るまでは、おそらく土俵上で相撲をお見せできない」と宣言した。だが当初の見込みよりも、調査は難航した。携帯電話の解析を待てば、半年が過ぎてしまう。

 伊藤座長

 悪いやつが半年後にでも見つかったらね、そこで、しょっ引けばいいんだと。僕はね、そのアイデアは、面白いと思っているんです。

 伊藤座長は理事会でも、調査と場所再開の検討を並行すべしとの意見を示した。出席者によると、理事らは慎重ながら、方向性は一致したという。また友綱理事(元関脇魁輝)は会議後、私見ながら、調査完了のめどについて「3月前半ぐらいじゃないのかな。ある程度、自分たちの中でもいつごろまで、というのは決めているんじゃないか。予定はしていると思う」と予想した。

 放駒理事長のもとには、ガバナンスの整備に関する独立委員会の委員から「調査は3月15日で期限を区切り、場所を再開した方がいい。テレビを通じて、全力士、親方がファンにおわびすればいい」との提案をしたためた私信が届いた。理事長は会見で「個人的には(調査が)早く終わるのがいいと思っています。しかし、この調査は委員会に任せて、委員会からの話があった時に、どうするか考えていく」と慎重に話した。

 八百長問題の発覚から20日。早ければ、夏場所から再開の見通しが立つ。バッシング一辺倒だった当初からは、風向きが少し、変わり始めている。